JAWS三都物語を支える関西パワーの源に迫る
関西のJAWSを盛り上げる金春さんと小賀さんがクラウドを語る
2014年06月02日 06時00分更新
カジュアルに人が集められる東京とは違う苦労
JAWS-UGのユニークな点は、地方組織が自律的にイベントを行なえるという点。特に前述したJAWS-UG三都物語は、その後の「JAWS FESTA」の成功につながるメモリアルなイベントと言える。こうしたイベントの成功は、大阪や京都、神戸などのJAWS活動がもともと堅実に行なわれていたのに加え、小賀さんのようなオープンソースコミュニティの運営に長けた人材の協力が大きいようだ。
とはいえ、集客にはいつも苦労しているという。やはり関西は商圏としても東京に比べて小さいし、エンジニアの数が少ないので、勉強会をやり続けるのは難しい。小賀さんは、「東京は運営側の人も多いし、カジュアルに集められる。たとえば、渋谷の2km以内であれば、インフラを語れるエンジニアはたくさんいるだろうから、『今日、kinesisのカジュアルトークするから、夕方集まろうぜ~』とSNSで呼びかければ20~30人集まるかもしれない。でも、関西ではそうはいかない」 と語る。
3都市のコミュニティがクロスオーバーするJAWS-UG三都物語も、こうした関西の現状から生まれたモノといえそう。小賀さんは、「単一のツールやコミュニティでは集客も厳しいが、AWSのようなプラットフォームであれば、その上で動作するアプリケーションでも、言語でもさまざまなツールが相乗りできます。カッコイイ言い方をすれば、コミュニティ横断で運営しているという形ですが、正直言えば、そうでもしないと人が集まりにくいというのもあります」と吐露する。
プラットフォームとしてのJAWS-UGで拡がる世界
このように苦労しながら、コミュニティを続ける魅力はなにか? 小賀さんは「“仲間”と“協力者”を集めるという点においては、JAWS-UGは強力な環境を与えてくれる。JAWS-UGは知りたいことを知り、会いたい人に会うため、コミュニケーションを取るための素晴らしい環境」と語る。金春さんも「こうして小賀さんともおつきあいができたし、AWSパートナーになったことで提携話が生まれたり、長く続けていくことで メリットも出てきている」と感じている。
こうしたプラットフォームを活かせば、従来型の開発プロジェクトとは異なる世界ができるかもしれないと小賀さんは夢想する。「特定の技術に長けた会社や職人同士を組み合わせ、『今回はあいつとあいつだ!』みたいな必殺仕事人のような開発プロジェクトが実現できるかもしれない」(小賀さん)。
一方で、新しい血がどんどん入ってくるのも大きな魅力。「先日はChefの勉強会に高校生が来たりした。(EC2の課金が)クレジットカード困らないの?とか、聞いちゃいました(笑)。高知のコミュニティにも大学生が何人かいますね」(小賀氏)。高校生はさすがに珍しいが、クラウドネイティブの世代がどんどんコミュニティに参加し、新しいコミュニケーションが生まれつつある。既存の企業や教育機関とは異なる価値観をコミュニティから得ることで、 未来は確実に変わるだろう。
お二方に今後やりたいことを聞いたところ、金春さんは「AWS認定試験の会場を大阪にも持ってきてもらうこと。AWSの認定プロフェッショナルやパートナーが少ないので、勉強会をやって、関西のエンジニアを底上げしたい」という答えが返ってきた。一方の小賀さんは「AWS Marketplaceが面白い。技術的なことを知らなくても、自動販売機で選ぶようにスピーディーにサービスを展開できる。自分たちのプロダクトも、海外でもっと使ってもらえると、夢が広がる」と語る。
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