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増税で電子マネー本格化? 各社が続々と電子マネー導入

2014年05月21日 04時23分更新

文● 加藤 宏之(HEW)/アスキークラウド

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 消費税が増税となった1カ月後の5月1日~2日に、オウチーノ総研は首都圏在住の20~69歳の男女559名を対象として、増税後の「電子マネー・クレジットカード」の使用に関する実態調査を実施。このほど結果を発表した。

 今回の増税では各家庭での経済的負担が重くなったことはもちろん、1円玉をはじめ小銭を使うわずらわしさが増すという点でも世間の関心を高めている。そこで注目されるのは、支払いに小銭を使う必要がないように、電子マネーやクレジットカード等を利用するキャッシュレス化(脱現金化)の動きだ。

今後、買い物で電子マネー(左)・クレジットカード(右)の使用頻度が増えるか(オウチーノ総研調べ)
今後、買い物で電子マネー(左)・クレジットカード(右)の使用頻度が増えるか(オウチーノ総研調べ)

 同調査では、買い物時の使用頻度が電子マネーもクレジットカードも6割が「変わらない」と回答。「増えた」のは1~2割にとどまった。今後の意向を尋ねると「増えると思う」はともに約2割を占めた。電車やバスなどの支払いでは、76%が電子マネーを使用し、増税後に電子マネーの利用頻度が増えたのは24.8%。今後の意向は、電子マネーの使用頻度が増えるという回答が31.1%にのぼった。

今後、交通機関利用時に電子マネーの使用頻度が増えるか(オウチーノ総研調べ)
今後、交通機関利用時に電子マネーの使用頻度が増えるか(オウチーノ総研調べ)

 ユーザーの動きや意向を見る限り、消費増税によるキャッシュレス化はそれほど大きくなく、動きが本格化するのはこれから先の話のようなだ。しかし、電子マネーを導入しようという事業者側の動きは大きくなりつつある。

 たとえば、格安店舗を全国展開するドン・キホーテは3月18日、同社グループ独自の電子マネー「majica(マジカ)」を導入。約1カ月後の4月17日時点で会員数は35万人を超え、初年度で会員数100万人という想定を大きく上回るペースで会員数を伸ばしている。

 大手コンビニチェーンのファミリーマートも電子マネーの導入に動き、ジェーシービーとともに4月18日に電子マネー「QUICPay(クイックペイ)」の導入を発表。6月下旬から全国のファミリーマート約1万600店で取り扱いを開始する。

 国内流通大手のイオンはFeliCa(フェリカ)を利用した電子マネーサービス「WAON(ワオン)」を展開しているが、3月31日付でソニー子会社のフェリカポケットマーケティング(FPM)を子会社化。FPMのFeliCaポケットアプリを活用し、WAONに商店街の独自ポイントやクーポンサービス、行政サービスなども搭載して利用者の利便性向上を図る。

「au WALLET」カード
「au WALLET」カード

 業界に大きな衝撃を与えたのは、携帯電話通信キャリアのKDDI、沖縄セルラーによる電子マネー事業参入が5月8日に発表されたことだ。アプリの購入やオンラインショップでの買い物(auかんたん決済)をはじめ、auの各種ネットワークサービスを利用する際の認証キーとして「au ID」を提供してきたが、「au WALLET」は「au ID」に紐付けた電子決済機能で、ユーザーに対して新たに発行されるプリペイド式の電子マネーカード。オンラインとオフラインの双方で「グッバイ・おサイフ」をうたう。

 ユーザーの関心が高まる一方、事業者が続々と参入する電子マネー。今年中にどこまで電子マネーが普及するか注目したい。

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