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2日で100万円集めた渋谷の図書室

2014年05月21日 07時01分更新

文● 伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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「いつか自分の図書室を作る」
 幼いころから読書が好きで、今でも年間100冊以上の本を読む森 俊介さんが、クラウドファンディングで「渋谷に図書室をつくる」プロジェクトの支援を募った。目標金額は10万円に設定。たった2日で100万円の支援を得て目標金額を達成した。支援は5月30日まで受け付けているものの、すでに800人から530万円以上の支援が集まっている。
 クラウドファンディングは通常、プロジェクトが始まってすぐと、終了間際に支援が集中する。しかし、森さんのプロジェクトは、支援する人と金が毎日右肩上がりで増え続けている。プラットホームの関係者に聞いても最終的にどれくらいまで伸びるのか予測が難しいという。

現在、店内の工事が進められている渋谷の図書室。

 森さんは早稲田大学卒業後、リクルートに就職。2009年ごろから起業の計画を始めた。
「2つほど起業プランを考えていました。図書室のプランはコストが掛かるが、昔からの夢で実現したかったので図書室を始めることにしました」

 資金集めや事業計画もそれほど深く考えず、まずは渋谷で理想の物件探しに時間を費やす。 渋谷という場所にこだわった理由は、以前住んでいた好きな街で土地勘があり、いろいろな人が集まる雑多な魅力もあるからだと語る。
 クラウドファンディングの支援金の設定は、プロジェクトを立ち上げる人が決められる。森さんは当初100万円に設定していたものの、支援を開始する1週間前に50万円、前日に10万円にまで下げた。
「金額を高めに設定すると金が欲しいと思われるので、資金集めよりもPRとしていろんな人に知って欲しいと思い低めに設定しました」

 支援金の使い道は図書購入にあて、最終的には1万冊の本が図書室に並ぶ。森さんは金銭的支援よりも応援コメントがありがたいと感謝を述べつつ、クラウドファンディングにはマーケティングの役割が強いと利点を挙げた。
 図書室で収益を上げるには店内の飲食を充実させることと当初は考えていたが、コメントの意見は本に関する要望や意見が圧倒的に多かったという。ドリンク用に高価な製氷機を購入する予定だったが、本のバリエーションを充実させることに方向転換した。
 本にリソースを割くことを決めてからは、店内のアイデアも充実し出した。コースターにも工夫が施される予定だ。表面は本のタイトルと挿絵が描かれており、裏面には森さんのお勧めコメントが書いてあるコースターを現在制作中。本棚には支援者が選んだ一番好きな本だけが並んでいる棚を作る予定だ。
「渋谷の図書室に来れば何らかの本と出会える。そんな空間を作りたいです」

 フェイスブックのアカウントがあれば、図書室の本は借りられる。渋谷の図書室は5月下旬に開店予定だ。


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