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共有型サーバーサイドキャッシュで高速なストレージI/Oを可能に

500万超のIOPS!デルが「Fluid Cache for SAN」国内発表

2014年05月15日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 デルは5月14日、共有型サーバーサイドキャッシュを用いるストレージソリューション「Dell Fluid Cache for SAN」を国内発表した。データの高速アクセスを必要とするアプリケーション向けに、ストレージパフォーマンスを大幅に向上する。提供開始は今四半期(2014年5~7月)中の予定。

 Dell Fluid Cache for SANは、PCIe SSDをサーバーサイドキャッシュとして利用することで、「Dell Compellent」SAN環境におけるストレージI/Oを高速化するソリューション。キャッシュ専用ネットワーク(10/40GbE)を介して複数サーバー上のキャッシュを共有し、単一の「キャッシュプール」を構成することで、PCIe SSD非搭載のサーバーにもキャッシュ能力を提供する。

Dell Fluid Cache for SANの構成。キャッシュ専用ネットワーク(黄色)を介して、クラスタ内でサーバーサイドキャッシュを共有する(単一のキャッシュプールを構成する)

 Fluid Cacheのクラスタでは、PCIe SSD搭載でキャッシュ能力を提供する「キャッシュコントリビューターサーバー」と、非搭載の「キャッシュクライアントサーバー」に専用ソフトウェアをインストールし、最大8台まで組み合わせることができる。コントリビューター1台あたり最大1.6TB、コントリビューター8台構成にした場合は最大12.8TBまでキャッシュを拡張可能。

 コントリビューターはデル製PCIe SSDに対応した「PowerEdge」サーバーに限られ、クラスタ内に最低2台が必要(3台以上を推奨)。一方で、クライアントは他社製サーバーでも構わない。ただし、コントリビューター/クライアントとも、キャッシュ専用ネットワークに接続するためRoCE(RDMA Over Converged Ethernet)対応のNICが必要となる。また、Fluid Cacheソフトウェアの対応プラットフォームは、現段階ではLinuxとVMware ESX(将来的にWindowsにも対応予定)。

 デル実施のラボテストでは、コントリビューター8台構成のクラスタにおいて、500万以上のランダムリードIOPSを達成した。また、OracleデータベースのOLTP(オンライントランザクション処理)において、Fluid Cache非使用時の6倍以上の同時接続ユーザー数でありながら、平均レスポンスタイムを99%向上させたと発表している。

 なお今回の発表では、併せてCompellentストレージのファームウェア(OS)新版「Dell Storage Center 6.5」も発表されている。データ配置の最適化(自動階層化)機能がFluid Cache for SANに対応したほか、幾つかの機能強化が行われている。

「3つのメリットをすべて提供できるのはデルだけ」と自信

 同日の製品発表会に出席した米デルのトラビス・ビジル(Travis Vigil)氏は、他社のサーバーサイドキャッシュソリューションと比較した場合、Fluid Cache for SANは「3つのメリット」を併せ持つ点が特徴だと説明した。

米デル エンタープライズ・ストレージ プロダクト・マーケティング エグゼクティブ・ディレクター トラビス・ビジル氏

Dell Fluid Cache for SANが提供する「3つのメリット」

 具体的には前述の「単一キャッシュプール」のほか、データの読み出しだけでなく書き込みも高速化する「ライトバックキャッシュ」、SANストレージとのシームレスな統合を実現する「単一管理インタフェース」の3つである。ビジル氏は、「3つのメリットすべてを提供できるのはデルだけだと自負している」と語った。

 また、デル 執行役員 エンタープライズ・ソリューションズ統括本部長の町田栄作氏は、2013年8月発表の「Compellentフラッシュ最適化ソリューション」(関連記事)、今年3月発表の「Dell Storage SC4020」(関連記事)と合わせ、それぞれの特徴を生かし、“破壊的な”コストパフォーマンスを持つストレージソリューションを提供していくことを強調した。

“プライス”が売りのフラッシュ最適化ソリューション、“コスト”が売りのDell Storage SC4020、そして“I/O”が売りのFluid Cache for SAN

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