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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第42回

リンクのアリ地獄状態?!釣り記事なタイトルとは?

2014年05月23日 09時00分更新

文● 前田知洋

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 ユーザーの不安に訴えるのが「脆弱、警告系」のタイトル。以前はポップアップ型の広告にもよく登場しましたが、最近だと「Internet Explorerの脆弱性」の話題。もちろん、真面目な記事もありますが、「XPからWindows 8にアップグレードして…」なんて記事。必要なスペックとか周辺機器の問題とかあるでしょうし…。素直に「新しいPC買え!」って記事にするのは難しいのでしょうか…。

 大きく分類するなら「怖い話」もこのジャンルに入るかもしれません。怪談にしろ、VML攻撃にしろ「こんなふうに怖い思いをした」という話は読みたくなるのが人の性ですから…。

 「ビジネス関係アドバイス系」はランキングと合わせワザで使われることがよくあります。「部下から信頼されるポイント5」とか「独立に必要な条件10」など。会社組織に所属してない筆者でさえ、思わずクリックしてしまいそうなタイトル。ただ、最近は、読んでから後悔するガッカリ感がクセになりつつもあります。

価値のない情報が増えすぎると、情報の消費速度がさらに加速する

みんな、釣り過ぎに注意

 この状況って、しばらく前の「視聴率さえとれればいい」と考えられていた頃に少し似ている気がするのは筆者だけではないはず。結局は、アクセスするユーザーに飽きられたり、見透かされたりするわけです。過激な釣りタイトルで目先のPVはあがるかもしれませんが、しばらくすると、メディアの信用度やブランド力を低下することにつながります。これは、署名記事を含む掲載メディアが、マネタイズの難しい無名の投稿型メディアと明らかに異なる部分です。

 将来的には、PVや滞在時間だけでなく新しいサーキュレーション(どれだけ表示されるかではなく、どれくらいユーザーに信用してもらえるか)の指標が登場するのかもしれません。現在、代理店と企業広報が悩んでいるのはその部分かと。フリーランスでも、メディア所属でも、信用されているライターをスポンサードするビジネスモデルなども生まれるでしょう。

 ちなみに、キャッチーなタイトルがついていても、良い記事もありますので、「釣りタイトル=悪」ってわけじゃないんですけどね。絶妙なバランス感覚のコピーライティングを絶滅させないためにも、各メディアの釣りタイトルの自制を願うばかりです。もちろん、筆者も自戒を込めているわけですが…。

昔のマジックは釣りっぽいタイトルも多かった。19世紀に英国などで注目を浴びた「燃えない女性(fire proof lady)」のポスター

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。現在、ビジスパからメルマガ「なかマジ - Nakamagi 2.0 -」、「Magical Marketing - ソシアルスキル養成講座 -」を配信中。

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