現在、開発が進められ、今年中の発売が噂されている米グーグルのメガネ型「Google Glass(グーグルグラス)」や、同じく開発中の米アップルの腕時計型「iWatch(アイウォッチ)」がメディアで報じられるたび、にわかに注目度が高まるウェアラブル端末。
すでに、ソニーモバイルコミュニケーションズは時計型「Smartwatch(スマートウォッチ)」、サムスン電子は時計型「Galaxy Gear(ギャラクシー・ギア)」を製品化・発売し、健康・スポーツの分野ではリストバンド型のランニングウォッチや心拍計など、さまざまな機種が数多く発売されている。
ジェイアイエヌは13日、メガネブランド「JINS」に新たに、三点式眼電位センサーや六軸(加速度・角速度)センサーなどを搭載した「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」を発表。これは、メガネが装着者の眼球から得られる情報を検知できるもので、「疲れ」や「眠気」などを測定し、スマホのアプリと連動してメガネ装着者に知らせることが可能となる。ほかにも消費カロリーや速度、姿勢などを測定して視覚化し、ウォーキングやランニングでのトレーニング効果を高めるアイテムとしても利用できる。同社では開発者向けキットを公開してアプリ開発などをうながし、2015年春の製品化を目指す。
5月1日には、教育関連メーカーの米LeapFrog Enterprisesが4~7歳児向けの腕時計型「LeapBand(リープバンド)」を米国で発売。ゲームをプレイしながら知育教育できるもので、腕時計型ゲーム機のような印象だが、それでもウェアラブル端末の広がりが子どもにも及びつつあるところに、2014年がウェアラブル端末の普及元年であることを感じさせる。世界最大級のインターネット通販サイトのアマゾン・ドットコムもここに目をつけ、「Wearable Technology」と題したウェアラブル端末専用ページを開設したほどだ。
ウェアラブル端末のビジネス利用も徐々に進んでいる。英航空会社のヴァージン・アトランティック航空と、世界の航空・旅行業界団体のSITAは2月に、地上のコンシェルジュスタッフ向けにウェアラブル端末を活用すると発表。グーグルのグーグルグラスとソニーのスマートウォッチ2を装着し、接客する顧客の情報や顧客が求める情報などをウェアラブル端末から入手することで、顧客サービスの向上を図るものだ。
日本航空(JAL)と野村総合研究所(NRI)は共同で5月1日、航空機の整備作業や貨物の搭降載作業にウェアラブル端末を使う実証実験を開始。米ホノルル空港で実務スタッフがグーグルグラスなどを装着し、JAL本社スタッフが日本から遠隔で後方支援を行う。普及拡大がひと段落したスマホに代わり、今後はウェアラブル端末がデバイス市場の主役に躍り出そうだ。