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BMW初のEV「i3」は環境とドライバーの心に優しい

2014年05月24日 14時00分更新

文● 藤山哲人  ●車両協力/BMW Japan

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【安心!】エンジン式の発電機を載せて
距離を稼ぐという斬新なi3【正解!】

 乗って楽しいEVだが、純粋なEVでは冒頭でも説明したとおり走行距離の短さが否めない。またバッテリーが空っぽになると、急速チャージャーを使っても30分以上の充電時間がかかる。ガソリンなら3分もあれば満タンにできるので、充電時間はかなりもどかしい。そこで、EVはできるだけ車重を軽くしたり、バッテリーをたくさん積み込んだりとロングドライブできる色々な工夫をしている。

見た目は普通の車だが、軽く叩くと金属とは違うボスボスという音で樹脂性と分かる

ボンネット裏が真っ黒なのは、カーボンが入ったFRP樹脂でできているから

ダッシュボードやドアの内張りの一部は、わざとCFRPをむき出しにしてデザインとしている

 BMW i3は車重を軽くするために、フレームを軽いアルミ合金で作り、ボディーを炭素繊維を混ぜた軽く強靱なFRP(CFRP)素材を使っている。そのためボディーを軽く叩くと金属音ではなく、ボスボスという樹脂の音がする。

 バッテリーは軽く電池容量が多いリチウムイオン電池を採用し、キャビン下の床に敷き詰められている。容量は21.8kWhなので一般的なEVとほぼ同等レベルといったところだ(LEAFだと24kWh)。ほかにも低抵抗のタイヤなどを含め数々の工夫が施されており、フル充電で走れる距離は130~160kmだという。以前レビューしたテスラ ロードスター(関連記事)は378km走れるが、ノートパソコンやモバイルバッテリーで使われている18650(直径18mm長さ65mmの規格品)という、円筒形の電池を約7000本積んでおよそ53kWhというバッテリー容量になっているので話は別だ。

Range Extender搭載車は、モーターに加えて軽自動車クラスのエンジンをリアに抱えるので、EV専用に比べるとリアが詰まってる感じ

 BMW i3のスゴイところは、Range Extenderというオプションをつけると、EVなのに300km以上も走れるという点だ。その実態は、軽自動車クラス(647cc)のガソリンエンジン(ハイオク仕様)。でもエンジンで走るわけじゃなく、バッテリーが少なくなったらエンジンを回して発電するという、トンチが効いた仕様となっている。なのでエンジンは載ってるけどハイブリッドじゃなく、発電機を載せたEV車だと言える。これによりRange Extender非装着車が130~160kmのところを、オプション装着で300kmまで伸ばせるというわけだ(金額的に47万円増)。

 しかもガソリン式の発電機を持っているため、9リッターの燃料タンクがあり、右フロンフェンダーに給油口(リアフェンダーはCHAdeMO対応の充電コネクター)もある。インパネにはバッテリー残量とFUELメーターも!

フロントフェンダーにある給油口。満タンで9リッター

充電コネクターはリアフェンダーにある

家庭用のコンセントから充電する場合は、ボンネット内にあるコネクターを利用

 気になる発電機の動作音はほとんど聞こえない。エアコンもオーディオもすべて消すと、ようやく「ココココッ!」という音が聞こえる程度だ。バリバリ唸る屋台の発電機を想像していたので、はじめは「Range Extenderぜんぜん動かないけど設定ちゃんとできてる?」ってモニターの設定画面をアチコチ触っていたほど。しかも試乗した限りでは、走行中にしか発電機を回さないようで、信号待ちで停車すると発電機を止めて無音にしているようだった。つまり、発電機の音は走ってるときのロードノイズでほぼ聞こえないと言っても過言ではない。

 Range Extenderは、航続距離を伸ばすというだけでなく、精神的にも安らぎを与えてくれる。なぜならEVはバッテリーが1/3程度を切ると、とたんに電池切れが心配になってくるのだ。充電スタンドはそこかしこにあるわけじゃないし、急速充電でも30分はロスになる。たいていの移動は、目的地と時間が決まっているので、EVだと両方が気になっちゃってしょうがないのだ。ドライバーの心理状態は、ちょうどエンジン車のFUEL EMPTYランプがついたときのような焦りと同じ感じだ(給油で30分もロスしないから、まだ時間の心配は少ない)。

左側のグラフがFUELメーターで、Range Extenderであと98km走れることを示している。右側はバッテリー残量で現在は70kmしか走れないが、フルチャージで119kmまで走れると示している

Range Extenderがないと急速充電しても30分はかかるので、急いでいるときは気がきじゃない

 でもRange Extenderなら走りながら充電できるので、充電スタンド過疎地でも心配ない。とりあえず目的地まで行って用事を済ませてから充電できるので、心配が一気に解消される。ただ発電機は化石燃料を使うのでわずかに環境に厳しいが、精神的な優しさは計り知れない。まぁ機会があれば、自宅をソーラーパネルにしたり、植林したりして環境に恩返しすればいいだろう。

 さらに驚くべきは、Range Extenderの価格だ。EV専用車は499万円のところ国からの補助金が40万円出るので実質459万円。かたやRnage Extenderは47万円増となり価格は546万円となるが、補助金が75万円も出るので実質471万円。47万のオプションが給付金で12万円で買えてしまうのでかなりオトクな計算になる。

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