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BMW初のEV「i3」は環境とドライバーの心に優しい

2014年05月24日 14時00分更新

文● 藤山哲人  ●車両協力/BMW Japan

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操舵性はツーシーター!
アクセルは3リッター超のレスポンス

 運転席に乗り込むと、ダッシュボードが超広くてビックリ。いわゆるひさしがついたインパネじゃなく、タブレットを充電スタンドにチョコんと置いたような計器類。ダッシュボードのレイアウトも低く、奥行きが普通車の2倍近くあるので圧迫感がまったくない。これだけの広さがあれば、Nゲージのレイアウトぐらいできそうなほどだ。実際やったら、コミケでウケると思うヨ!

広いダッシュボードと見やすいコクピット。ギア(セレクタレバー)は右のワイパー上にある

 シートに座ると、ちょうどホイールベースの中央にくるので、ハンドリングはホイールベースが長いのにツーシーターなみにキビキビとしていて、高速の車線変更でも後輪の遅れがまったくなかった(筆者が昔乗ってたMR-2(AW11)みたいなフィーリング)。

 アクセルの感覚は3リッタークラスのスポーツカー並み。ガソリンエンジンと違って最初から最大トルクが出せるので、アクセルを踏んだ分だけ加速して気持ちがいい。ダッシュの感覚は、羽田のモノレールや札幌地下鉄のようにグイグイ来る。鉄分の低い人に向けて例えるなら、ギアをセカンドに入れてパワーバンドまでアクセルを踏んでおいて、半クラッチからロックまでを4~5秒ぐらいでつないだ感じ。オートマの読者には伝わらないかもしれないけど、オートマのレクサスでもこんな加速はできないだろう。

 さらにアクセルの感度が超イイので、マニュアル車以上に微妙なアクセルワークが必要。なにせエンジンと違ってギアがないので、踏んでないときが時速0kmで、べた踏みしたときは最高速度の150km/h。まぁコンピュータがあるので、それを30度程度の角度で制御するわけじゃないが、それだけシビアってこと。ちょっと気持ちよくなってアクセルを踏んじゃうと、スグに法定速度をブッちぎるので注意しよう(もちろん筆者の脳内での話。実際には法定遵守ネ!)。

シートに座るとホイールベースの中央に来るので、ハンドリングはツーシーター・ミッドシップのフィーリング。ハンドルも重めで、操舵感覚が気持ちいい

トルクがあるので街乗りは最高に気持ちいい。アクセルをちょっと踏めば、グィっ!と加速する。高速の合流はもちろん、追い越しも街乗りと同じように加速する

 ここまでは、ドライビングモードをCOMFORT(快適)にしたときの走り。このモードはEVのトルクを最大限楽しむためのモードで、反面電池をメチャ食う。たとえて言うなら、ミニ四駆に1000円ぐらいする高いモーター乗せて遊ぶのと一緒だ。しかしBMW i3は、スイッチひとつでパワーじゃなく距離を稼ぐECO PROモードに切り替えられる。これをたとえれば150円で買えるマブチのFA-130モーターで走らせた感じ。

 ドライビングモードをECO PROにすると走りは激変! シビアだったアクセルは3割ほどが遊びになって加速はダルダルになるけど、航続距離がメッチャ伸びるようになる(ECO PRO以外にもECO PRO+モードがある。+は電装系の節電もするだけで走行には関係ない)。ECO PROモードの加速は、1.6リッターエンジン+オートマチック車で、高速で追い越しをかける感じ(キックダウンなしで)。もしくはCVTの軽自動車を雑にアクセル踏んで街乗りしている感じだ。鉄分高めだと、通勤電車のE231系やE233系な加速。COMFORTモードはアクセルワークがシビアで乗りづらいっていうオートマ乗りは、ECO PROモードのほうが運転しやすいはずだ。

左上がドライビングモードのセレクター。大きなダイヤルは、ナビゲーションシステムの操作パッド

 さてEV乗りに欠かせないのが、アクセルを緩めたときにモーターを発電機に変えて運動エネルギーを電気エネルギーにする回生ブレーキだ。エンジン車のエンジンブレーキに比べると、EVの回生ブレーキはかなり強いのだが、BMW i3は超かかりがいい。そして時速1kmになるまで根性でエネルギーを回生してくれる。

 たとえば前方の信号が赤だった場合、エンジン車と同じように「アクセルをポンと緩めて、ゆっくりペダルを踏み変えて、ブレーキを踏み込んでいく」なんてことをi3でやると、だいたい停止線の5~10m手前で止まっちゃう。実はコレ、i3の開発コンセプトになっているポイントで「アクセルワークだけで運転できる」っていうポリシーに基づいたもの。

 i3を停止させるには、アクセルを徐々に緩めるて回生ブレーキを効かせればいい。下り坂でもなければ、まったくブレーキを踏まずに止まれる。「おいおい! それじゃあ、後続車にオカマ掘られるだろ!」と思いきや、コンピュータが回生ブレーキの効きを判断して、ブレーキを踏んだとき相当の制動がかかると、自動的にブレーキランプが点灯する。しかも停止寸前の時速3~1kmあたりでは、自動的に回生ブレーキを緩めて乗り心地よく停止するのだ。これはモーターの回転数が落ちたから物理的に回生ブレーキの効きが悪くなるというのではなく、明らかにコンピュータが介入している動きを見せていた。

キャビンの下にバッテリーが敷き詰められている。モーターはリアのトランク下

リアのモーター側からキャビンのバッテリーを見たところ。加速時はバッテリーからモーターに電力を供給し、減速時はモーターを発電機にしてバッテリーへ電力を回収する。これはすべてコンピュータが行なう

ちょうどこの下にモーターがある。ただし、フタがネジ止めされているので見ることはできない

 回生ブレーキだけで停止する場合のブレーキングポイントは、一般車と変わらない。ただ、アクセル操作が微妙で、車に酔いやすい人を助手席に乗せている場合は、エンジン車で速度を1~2km/h単位でコントロールするぐらい微妙なアクセルワークが必要。この減速のアクセルワークは、ドライビングモードをCOMFORTにしてもECO PROにしても効きは変わらないようだった。

155/70というタクシーみたいなタイヤだけど、カーブで鳴いたりアンダー出たりということもない。心理的に怖いだけで、ハンドルは安心して切れる

 乗り込む前に見てショッキングだったスリムなタイヤだが、コーナリング性能にそれほど影響があるわけでもなさそうだ。サーキットで限界を試すことはできなかったが、高速道路のジャンクションやICで連続するカーブ(首都高をよく知っている人なら、渋谷線の大橋ジャンクション相当)を標識どおりの速度で走っても、まったくタイヤの鳴きなどもなく、アンダーステアが出る気配もない。おそらく賢いサスペンションと、床下に積まれたモーターとバッテリーが低重心で安定しているからだろう。

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