富士通研究所はMIT(米マサチューセッツ工科大学)と共同で、オンデマンド交通運行技術を開発した。タクシーやミニバンの運行モードを、利用者のニーズから随時、タクシーモードと乗合モード、固定路線モードのいずれかに切り替えて最適運行を可能とする技術となる。
公共交通機関の運行スタイルは、利用者が利用したいときに現在地から目的地へ直接移動するタクシースタイルと、固定ルートで停留所をめぐる車両に乗って移動する固定路線スタイル、また、タクシーと固定路線の中間的なスタイルで、数人の利用者が乗り合いそれぞれの目的地を回っていく乗合スタイル、という3つに大きく分類できる。
タクシースタイルはいつでも自由に利用できる点から利用者にとって利便性が高い一方で料金が割高となり、事業者にとっても利用客を十分に確保できるとは言い切れない。固定路線スタイルは料金が安い一方、運行時刻に合わせて利用しなければならず、目的地までの道のりを100%利用できるとは限らない不便さがある。事業者側にとって、仮に利用者がゼロの便があっても運行しなければならず、採算性が高いとは言えない。乗り合いスタイルも、利用者同士のマッチングがうまくいかなければ事業運営は難しくなる。
こうしたメリットとデメリットを考慮し、公共交通機関の運行を最適化するのが今回開発された技術。利用者はスマホなどでリクエストを送ると、タクシー・乗合・固定路線の3つから運行モードと乗車時刻、料金の異なる複数の乗車便から選択できるように選択肢を提示。利用者はこれを選択し、最適な便を利用できる。交通機関では、利用者からのリクエスト状況から、同一車両をその都度、3モードのいずれかに動的に割り当て運行させる。リクエストを送った利用者に提示する選択肢は、事業者の利益が最大になるように利用者の乗車便選択を誘導するよう、最適化される。
なお、同技術は15日・16日に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催する「富士通フォーラム2014」に出展する予定だ。