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アップルの「iOS 8」に予想される機能とは

2014年05月09日 07時00分更新

文● Dave Smith via ReadWrite

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ユーザ待望の新iOSの全貌を、さまざまな情報から導きだしてみた。

iOS8

アップル恒例のデベロッパー向けイベント、WWDC(World Wide Developers Conference)まであと一か月を切った。今年もサンフランシスコで行われるこのイベントで一体何が発表されるだろうか。アップルはこのイベントでモバイルとデスクトップ向けOSの最新版を公開するのが通例となっており、今年のWWDC 2014でもこれまでと同様に新OSが発表されるとみられている。

昨年のイベントの主役はなんといってもiOS 7だった。iOS 7は、2007年にiOSが初代iPhoneと共にデビューして以来最大のアップデートとなり、見た目から中身まで大きく変更された。iOS 7はまた、アップルのデザイン責任者「サー」ジョニー・アイブが直接手掛けた初のOSでもある。長年iOSの責任者だったスコット・フォーストールが、iOS 6に搭載されたMapsアプリの大失敗によって2012年に解雇されたため、アイブが「ヒューマン・インターフェース」の責任者の座を引き継いだのだ。

iOS 7の評価は一般的に旧バージョンよりも高く、次のiOS 8にはいくつかの新しい機能に加えてさらなるブラッシュアップが期待される(アップルは最新のiOSを新しいiPhone発売の数日前にリリースすることが多く、そのほとんどが秋に行われる)。WWDC 2014で披露されるであろうiOS 8にどんな機能が搭載されるのか、予想してみよう。


Mapsの復活

2年前、アップルはiOS 6のデフォルト地図アプリをGoogle Mapsから自社製品に切り替えた。その結果はご存じの通り、要するに大失敗だった。同社CEOのティム・クックはユーザに対して公式に謝罪を行い、フォーストール以下、Mapsアプリの直接的な責任者の解雇が続く事態となった。

昨年のアップルはiOS7の開発で手いっぱいで、リリースを間に合わせるために自社のMacチームのエンジニアを駆り出したほどだった。そのため自社のMapsアプリへ十分に注力する時間がなかったようだ。しかし、伝えられたところによると今年アップルは、このアプリを大きくアップデートさせ、新機能として地下鉄、バス、電車、タクシー、自転車、徒歩などナビゲーションの選択肢が広がり、ローカル・ビジネスの情報なども盛り込まれるという。

アップルは2013年に複数の地図会社を買収しており、この一年でそれが間違いなくMapsのクオリティーの向上に繋がっているはずだ。買収企業にはLocationary、HopStop、Embark Inc、WiFiSLAMなどがあり、地図データの管理や整理、分析を専門とするBroadMapをも傘下に収めた可能性がある。

WiFiSLAMを獲得したアップルは、ショッピング・モールやその他公共施設用の屋内地図の提供を計画しているようだ。同社の2011年の特許には、iPhoneに搭載されているコンパスを使って近隣の施設を閲覧できる拡張現実を利用したApple Mapsの構想が描かれている。つまり、アップルのロゴが張り付いた車があちこち走り回って写真撮影しなくても実現可能な、アップル版ストリート・ビューということになる。


健康管理に重点を

多くの人達が、2014年こそアップルから健康をテーマにしたスマートウォッチが登場する年だと期待している。ただ噂されているiWatchの機能をユーザが利用するために、まずアップルはiOSに健康管理機能を搭載しなければならない。

3月に、9to5MacはiOSに登場するとされる新アプリ「Healthbook」の「スクリーンショットの完全再現」を公開している。この情報のソースは「この機能を直接開発している複数の提供者」とされている。

Healthbookは既存のPassbookに似たアプリで、ユーザの睡眠や動作などに基づいた生体情報を、健康やフィットネスといった要素でタブ分けされたシンプルなカード形式で提供する。画像によれば、iOS 8ユーザは自身の血圧や血糖値、脈拍、水和レベル、酸素濃度、呼吸速度などの情報を、モバイル端末で直接閲覧することができる。

もちろん、Healthbookがこれらのデータをどのように採取するかが問題だ。iPhone5Sから搭載された(恐らく次世代のiPhoneにも搭載される)M7モーション・コプロセッサーで、動きを中心とした生体情報は採取が可能だ。しかしおそらくHealthbookは、アップル純正のアクセサリー(iWatchあるいは次世代のEarPods)、またはナイキのFuelbandやJawbone Upなどのサードパーティー製デバイスからデータを取得することになるだろう。


iTunesの改良

昨年アップルは自社のストリーミング・ミュージック・サービス、iTunes RadioをiOS 7のミュージック・アプリの一部としてリリースした。しかし9to5Macによれば、iOS 8ではスポンサー広告付きサービスの露出を高めるために、iTunes Radioは他のミュージック・アプリからは独立するようだ(iTunes Matchのユーザであれば、音楽のストリーミング中に広告を聞かされることはない)。

さらにアップルは人気の音楽認識アプリShazamとのパートナーシップによって、音楽認識の機能も追加するようだ。この統合によって恐らくユーザは、新たに認識した曲をそのままiTunesで購入できるようになるだろう。


iCloudの拡張

2011年に導入されたiCloudは、ユーザがドキュメントやファイルをクラウドに格納し、アップル製のコンピューターやモバイル端末を同期させて共有できるサービスだ。9to5Macによると、アップルはPDF閲覧ができる「Preview」とシンプルなワープロ「TextEdit」のモバイル版を開発しており、iOS 8ではこれらのアプリがiPhoneやiPadで利用できるようになるという。


その他の改良

The Informationが報じたところによると、iOS 8からアップルの音声アシスタントSiriは、サードパーティー・アプリにもアクセスできるようになりそうだ。アップルは現在Siriの強化のためにOpenTableやWolframAlphaなどとそれぞれ個別の提携を結んでいるが、こうした提携を結ばなくてもサードパーティー・アプリとSiriの融合が可能になるかもしれない。

iOS8

Siriに加えて、アップルはiOSの通知機能である「Notification Center(通知センター)」も改善し、「すべて」や「未確認」のカテゴリーを無くすようだ。また「Game Center」も独立したアプリではなくなり、ゲーム自体に取り込まれるようだ。アップルの車載ディスプレイ連携機能、CarPlayに至ってはWi-Fiでの接続が可能になり、Lightning ケーブルが必要なくなるという。


「One More Thing」

可能性は低いかもしれないが、もう1つ興味深い噂がある。今年の1月ウォールストリートジャーナルは、アップルが昨年のiPhone 5Sに導入し、恐らく今年のiPhoneとiPadにも搭載されるであろう指紋認証機能Touch IDに、モバイル決済システムを結び付けるだろうと報じている

1月に開かれた投資家向け決済説明会で、クックはモバイル決済を「我々にとって実に興味深い分野」だとし、「Touch IDの背景にある目的の一つ」だと話している。

現在でもiOSユーザは、Touch IDを使ってデジタル音楽やビデオをiTunes StoreとApp Storeから購入することができる。iOS 8でアップルはこの機能を拡張し、数多くのパートナーアプリを通じた物販やサービスの決済に利用できるようにするかもしれない。アップルが初期の提携先に選ぶ可能性が高い企業については、現在Passbookで利用可能な企業が参考になるだろう。Delta、American、Unitedなどの航空会社、MLBなどのスポーツ団体、その他はFandango、Ticketmaster、Starbucksなどの企業だ。


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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