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今度こそあの頂へ! ミクGTプロジェクト7年目の正直 第7回

天使のミクさんはもう止まらない!

勝利への執念が呼び寄せた奇蹟! 初音ミクZ4、2連勝!

2014年05月09日 17時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部 写真●鉄谷康博、加藤公丸

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いきなり大クラッシュ!
大波乱の決勝500kmレース

 予選日の夜はミクZ4応援バスツアーの参加者の前で、ニコニコ生放送を行ったGOODSMILE RACING & TeamUKYO。メカニックは夜中まで日中に出たトラブルを修復していた。そのおかげで駆動系のトラブルは解消されたが、決勝日朝のフリー走行で今度は電装系のトラブルが発生。フリー走行をほとんど走らず、サーキットサファリも休んでメカニックが原因を究明した。そのため、ドライバーのふたりはほとんど練習走行ができないまま、決勝レースを迎えることになった。

 人が多すぎて大混乱だったピットウォーク、グリッドウォークが終わり、いよいよレースがスタート。ウェイトハンデ40kgを積むミクZ4には、気温と路面温度の高さは厳しいが、前についていけないほどではない。作戦次第では確実に上位を狙えるだろう。

 スタートドライバーを務めるのはいぶし銀のテクニシャン、片岡選手。9番手からのローリングスタート! だが、直後に抜かされてしまい、10番手に落ちてしまう。しかし、4周目に #88 ランボルギーニがストレートエンドで大クラッシュ、ドライバーは無事だったが、パーツが散らばったため、セーフティーカーランになった。普通ならセーフティーカーのときにピットインさせるのが常道ではあるが、さすがにまだ10周も走っていないため、どのチームもピットには入らなかった。

 セーフティーカーが解除後に片岡選手は9位に順位を戻す。とはいえ、ここからがなかなか上にいけない。しばらくレースは膠着していたが、再び大きなアクシデントが! 17周目にGT500のマシンがエンジン付近から出火しコース脇にストップ、そのままセーフティーカーランになった。さすがにここで多くのチームがピットインを選択。この選択でほぼレースが決したと言っても過言では無い。もちろん、ミクZ4はピットイン。タイヤ4本とドライバー交代をこなして、谷口選手が出陣した。ここでステイ(ピットインせず)を選んだチームは大きく下位に沈むことになった。

 アウトラップの時点で18位だったが、谷口選手はズバズバとオーバーテイクを仕掛け、徐々に順位を上げていく。33周目には10位の入賞圏内にまで上がってきていた。気がつけば、全車が1回目のピットインを終える頃には3位に立っていた。9位から3位である。そして、56周目に#11 ゲイナー SLSを抜いて2位になり、60周目に1位を走っていた#3がピットインしたため、ミクZ4はついに1位になったのだった。

 その後、ミクZ4は62周目に2回目のピットインで4本のタイヤ交換をして、ドライバーは再び片岡選手に。このとき、残念ながら#0 無限 CR-Zに先にいかれてしまう。アウトラップが終わった頃の差は1位を走る#0から約5秒だった。だが、#0は昨年のチャンピオンらしい走りで、ほぼミクZ4と同じペースで走っており、まったく差が縮まらない。そのうえ、後ろからは#11が迫ってきていた。まさに前門の虎、後門の狼状態になる。全車が2回目のピットインを終了したあとは、ミクZ4は2位にいた。

 クルマの速さで言えば、#2 マクラーレンや#31 プリウスGTがほかを圧倒していたが、この2台は接触やピット時のトラブルで大きく順位を下げており、勝負はほぼこの上位3台に絞られていた。ハイペースでひたすら逃げる#0、なかなか1位に追いつけないが後ろに迫る#11とのバトルで気が抜けないミクZ4、2011年からほぼ直接のライバルになった#11。見ているほうも胃が痛くなりそうなバトルは残り10周を切るまで続いた。

 だが、またレースは大きく動く。あと数周でゴールというときに、1位を走る#0の挙動がおかしくなり、徐々に2~3位の2台のと差がなくなってきたのだ。タイヤがかなり厳しいのか、コーナーへのブレーキングで挙動が乱れつつある。そして、ついに#0は痛恨のスピンを喫してしまい、3秒以下の差まで詰めていたミクZ4と#11は、やすやすと#0を抜き去っていった。ここから、ファイナルラップ(残り6周ほど)まで、息をのむバトルが展開される。ブレーキングの良さを活かして、コーナーでかなり突っ込んでくる#11に対し、クレバーにブロックをする片岡選手。#11は止まりきれずにオーバーランすることもあったが、すぐに復帰してミクZ4を追撃してきた。

 しかし、片岡選手は1位をまったく譲らずに、チェッカーまでクルマを運んできたのだった。なんと、開幕2連勝という偉業を達成してしまったのだ! SUPER GTは勝つのが難しいレースで、さらに連勝するのも尋常ではないのに、はやくも2連勝達成である。これは前人未踏と言わざるを得ない。最後の最後にはファンからの声援がミクZ4を後押ししたのだ。

 とはいえライバルたちのトラブルやミス、運に助けられた要素は大きい。実際、トップスピードの差が10km/hほど違うマシンもあった。そして40kgのウェイトハンデ。これらをはね除けて勝利できたのは、ドライバーやメカニックにまったくミスがなく、そしてファンからの大きな声援があったからこそだ。次戦はウェイトハンデが80kgにもなり、苦しい戦いが続くと予想されるが、現在ランキングは1位で40ポイント、王座奪還に向けて大きく前進したと言えるだろう。チャンピオンになるにはだいたい80ポイント強が目安だが、その半分を2戦で稼いでしまったのだ。

 次戦は5月31日~6月1日に大分のオートポリスで開催される。このまま3連勝を期待したい。

泣いた! 笑った! 浮かれまくった!
勝利後の宴

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