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REDEFINEは成功したか?EMC WORLD 2014レポート 第4回

Software-Defined Datacenterとハイブリッドクラウドの価値とは?

Hotel California型クラウドに疑問を投げかけるゲルシンガーCEO

2014年05月08日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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VMwareが推進するハイブリッドクラウドの世界とは?

 次にゲルシンガー氏が説明したのが、オンプレミスとパブリッククラウドをシームレスに統合したハイブリッドクラウドへの取り組みだ。VMwareにとって、ハイブリッドクラウドはなぜ重要か? ゲルシンガー氏は、「50万の顧客が4000万のVMを使っている。このインフラをいかにクラウドに適用できるが大きなテーマだから」と語る。

 ハイブリッドクラウドへの道は、ある意味必然的だという。ゲルシンガー氏は、パブリッククラウドとオンプレミス/プライベートクラウドの成長率と市場規模についての調査を披露。これを見ると、成長率において、クラウドはオンプレミスの6倍に上るのに対し、投資規模に関してはオンプレミス/プライベートクラウドの方がはるかに大きいことがわかる。「パブリッククラウドはものすごい勢いで伸びているが、投資規模で言えばオンプレミス/プライベートクラウドの方がはるかに大きい」(ゲルシンガー氏)。こうした背景から、EMCとVMwareは単にオンプレミスの勢いが残るからだけではなく、ビジネスの要件を考えてもハイブリッドクラウドが現実的だと指摘する。

オンプレミス/プライベートクラウドの予算の方がはるかに大きい

 もう1つゲルシンガー氏が言及したのが、クラウドによるロックインだ。ゲルシンガー氏は、イーグルスの名曲「Hotel California」の「チェックアウトはできるが、離れることはできない(You can check out anytime,but you can NEVER leave.)」という歌詞がパブリッククラウドの現状を表わしていると説明。AWSのようなパブリッククラウドを念頭に、「APIやサービスが専用のため、離れることができない。柔軟性やオープン性がなければ、冒頭のようなDECと同じ運命をたどるかも知れない」と牽制した。これはCIOにとって根本的な選択だという。

Hotel Califoniaの歌詞はパブリッククラウドと同じ

vCloud Hybrid Serviceでハイブリッドクラウドの最適解を目指す

 これに対して、VMwareはパブリックとオンプレミスを自由に行き来できる「vCloud Hybrid Service」を展開している。ゲルシンガー氏は、「AWSやGoogleよりも多くのサポート、マイクロソフトよりも多くのWindowsに対応する。9万以上のアプリケーションをサポートし、一元的なオーケストレーションも、セキュリティも、DRも入っている」とアピール。アプリケーションも運用環境も変えず、シームレスにオンプレミスのデータセンターを、パブリッククラウドに拡張できるという。

パブリックとオンプレミスを自由に行き来できる「vCloud Hybrid Service」

 vCloud Hybrid Serviceは、パートナーエコシステムを構築し、サービスをグローバルに拡大している途中。「今年中に米国に8箇所、イギリスに2箇所のデータセンターを構築する。それ以降、アジアやヨーロッパにも展開し、パートナーを通して、クラウド市場の75%を席巻していく。これがエンタープライズが選ぶ、ハイブリッドクラウドの将来像だ」(ゲルシンガー氏)。

 実際の事例を披露したゲルシンガー氏は、最後にPivotalのCloud Foundryディストリビューションである「Pivotal CF」を、このvCloud Hybrid Service上で提供することを発表した。「Cloud Foundryの勢いをエンタープライズのアプリケーション開発に活かし、真の意味のハイブリッドクラウドを実現する」とアピールし、後半のPivotal CEOのポール・マリッツ氏につないだ。

Cloud Foundryディストリビューションである「Pivotal CF」をvCloud Hybrid Service上で提供する

 四半世紀の間、半導体産業に身を置き、ソフトウェアとクラウドの世界に居場所を移したゲルシンガー氏だけに、その内容は説得力がある。EMCやPivotalとの役割分担が明確になり、VMwareが標榜するSoftware-Defined DataCenterを構成するピースが埋まったこともあり、躍動感のあるセッションは多くの聴衆を魅了した。

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