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REDEFINEは成功したか?EMC WORLD 2014レポート 第3回

EMC World 2014基調講演レポート

EMCトゥッチ会長、第3のプラットフォームへの意気込みを語る

2014年05月07日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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5月5日、米国ラスベガスにおいてEMCのイベント「EMC WORLD 2014」が開催された。初日の基調講演では会長兼CEOのジョー・トゥッチ氏が第3のプラットフォームにかける意気込みを語った。

着実に進む「第3のプラットフォーム」への布石

 EMC WORLD 2014は、1年に1度行なわれる同社最大の総合イベントで、今年で14回目になる。昨年からはGlobal Partner Conferenceも併催されるようになり、参加者も万人規模に上る。4日間の会期中には、EMCのエグゼクティブによる基調講演のほか、500におよぶブレイクセッションが行なわれた。

 初日の基調講演に登壇したのは、EMCを長らくリードしてきた会長兼CEOのジョー・トゥッチ氏。会場の聴衆に対して熱い謝辞を述べたトゥッチ氏は、5月5日がメキシコの祝日のシンコ・デ・マヨ(Cinco de Mayo)であることを紹介し、舞台にメキシコの楽団を引き入れた。さらにメキシコの衣装にギターを抱えた写真を披露し、会場を温めた。旺盛なサービス精神には毎年、頭が下がる思いだ。

EMC会長兼CEOのジョー・トゥッチ氏

シンコ・デ・マヨを祝う楽団が華やかな演奏と共に壇上へ

自身もメキシコの衣装を身にまとう写真(もちろんPhotoshopで加工)

 今年のテーマである「REDEFINE(新定義)」には、Software-Definedの戦略をアピールすると共に、業界や会社、そして自分自身の在り方をもう一度見直そうという意味が込められているという。トゥッチ氏は、先日発表された「Digital Universe」のデータを引き合いに、年間に生成されるデータの量が、2020年に今の10倍にあたる44ZBに到達すると説明。「前回は10倍になるのに10年経つと言われたが、今ではその期間が7年に短縮されてしまった」(トゥッチ氏)。

 EMC自体も1991年から製品を出荷し、2005年に初めてエクサバイトのストレージを出荷に実現して以降、エクサバイト単位の出荷にかかる期間はどんどん短くなっているという。2010年には1年、2011年には四半期で達成されるようになり、2013年には1ヶ月にまで短縮されるようになったとEMC自体の事例を説明した。

 しかし、増え続けるビッグデータを管理するIT人材は、決してリニアに増加するわけではない。2013年、2800万人だったITプロフェッショナルは、2020年には3600万人に増加するが、管理するデータの量は一人当たりで今の5倍に膨れあがる。

ITプロフェッショナル1人が管理するデータ量は相対的に増える

DSSDで目指すリアルタイムエンタープライズの新世界

 そして、こうした洪水のようにあふれるビッグデータという現象のほか、モバイルデバイスの増大や急ピッチで導入が進むクラウド、そして個人のつきあいやエンタープライズを大きく変革するソーシャルなどの4大トレンドがITのプラットフォームを変えつつある。いわゆる「第3のプラットフォーム」だ。トゥッチ氏はEMCのみならず、VMware、Pivotalの連合(Federation)で第3のプラットフォームに立ち向かっていくという基本方針を改めて説明した。

EMCがFederationと呼ぶ3社連合で第3のプラットフォームを積極的に攻める

 また、EMCはこの第3のプラットフォームに対する製品開発や投資をますます積極的に進める。トゥッチ氏は収益の約12%をR&D、約10%を買収に使うという方針を明らかにし、昨年も50億ドルをこうした投資に費やしたとアピールした。

 トゥッチ氏は、こうした投資の一環として、新たにフラッシュ製品の開発を手がけるDSSDを買収したことを紹介。DSSDのメンバーの創業者でもあるアンディ・ベクトルシェイム氏を「ハードウェアのスティーブ・ジョブス」として壇上に上げたほか、DSSDがフォーカスしているインメモリDBのSAP HANAを手がける米SAP CEOのビル・マクダモット(Bill McDermott)氏とビデオで会話。リアルタイムエンタープライズでのフラッシュソリューションの可能性をアピールした。

アンディ・ベクトルシェイム氏と語るジョー・トゥッチ氏

ビデオで登場したSAP CEO ビル・マクダモット氏

 基調講演は昨年発表されたものと大きく変わる内容ではないが、第3のプラットフォームに向ける意欲と取り組みを多くの聴衆に確実にアピールするものだったようだ。

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