Androidベースの「Nokia X」は存続するの……か?
MSがサービスカンパニーになるなら違和感は無い
もう1つのポイントが、NokiaのAOSPベースのNokia Xだ。Nokia Xが誕生するまでの経緯をNokiaは明らかにしていないが(18ヵ月プロジェクトという説もある)、Microsoftの買収が決定した後でも結局消滅することなく、端末は完成、そして発売に至った。Nokiaの担当者はMWCで既存のAshaとXは共存し、Xを「積極展開していく」と語っていた(関連記事)。Xが2月に発表した3機種(「Nokia X」「Nokia X+」「Nokia XL」)で終わりではない、というように聞こえた。
Windows Phoneライクなインターフェースを搭載するXが狙うものは、スマホの次の主戦場となるローエンド市場とWindows Phoneへの橋渡しだ。iPad向け「Office」に代表されるように、サービスにフォーカスする戦略であればNokia Xの存続は考えられるように見える。NokiaはWindows Phoneのみならず、AshaやX、さらにはフィーチャーフォンでも「OneDrive」「Outlook」「Skype」といったMicrosoftのサービスをのせていくとしている。Xが存続するとすれば、デバイスとサービスカンパニーに向けてMicrosoftが本気であることを示す例になるだろう。
そして、そうしなければせっかくNokiaを手に入れても、スマホ市場の戦いに完敗してしまうという苦しい事情もある。ハイエンドでのWindows Phoneのシェアの伸びが苦しい中、戦いはミッドレンジ、そしてローエンドに移っている。そしてローエンドこそNokiaがいまだに強い市場なのだ。
Nokiaは歴史的にインド、アフリカ、中国などの途上国市場に強く、ハイエンドで苦しい戦いを強いられながらも、世界2位の座を維持できているのはこれらの市場があるからだ。だが、この市場にもスマートフォンが入り始めている。わずかな間ではあるがNokiaを支えてきたAshaだが、Ashaはタッチに対応していてもアプリのエコシステムはない。Androidの低価格化、そしてFirefox OSの攻撃を考えると、Ashaではエントリー市場で対抗できないことは明白だった。となると、やはりXは戦略的に重要といえる。
おりしもMicrosoftは新CEOを迎えたばかり。Nokiaを飲み込んだ後にどのような戦略に出るのか、気になるところだ。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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