このページの本文へ

大規模災害に備え、道路管制業務の復旧時間を数日から数分に短縮

NEXCO西日本、広域に及ぶOpenFlowネットワークを構築完了

2014年05月01日 06時00分更新

文● TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 西日本高速道路(NEXCO西日本)は4月30日、OpenFlow/SDN技術を採用した新たな通信ネットワークを今年3月に構築完了したと発表した。現在、このネットワークを活用した新たな交通管制システムの構築を進めており、2015年末には新システムへ移行する予定。

 NEXCO西日本では、関西/中国/四国/九州の各支社に道路管制センターがある。各センターには高速道路上の本線設備(情報板や計測設備など)と接続された交通管制システムが設置されており、このシステムを通じて高速道路の管制業務(監視や制御)を行っている。これまでは、道路管制センターごとにシステムの冗長化を行うことで耐障害性を高めていた。

 今回発表された新システム/新ネットワークは、大規模災害で道路管制センターが大きなダメージを負った場合に、他の被災していないセンターに管制を切り替えて、業務をバックアップできるようにすることを目的としている。

新しい交通管制システムの概要。OpenFlowネットワークにより、大規模災害の被災時には短時間で管制センターを切り替えられるようにする

 新システムではまず、仮想化技術により各交通管制システムのサーバーを統合/共通化。さらにOpenFlowネットワークを活用して、本線設備の接続先を短時間で他の道路管制センターに切り替えられるようにする。これにより、災害発生時にも道路管制センター間で相互に業務のバックアップが可能となる。

 NEXCO西日本によると、従来ネットワークの場合、本線設備の接続先センターを切り替えるためには数千カ所に及ぶ本線設備ごとに設定変更を行う必要があった。新ネットワークでは、道路管制センターや高速道路事務所など全45拠点に設置した136台のOpenFlowスイッチを介して集中制御が可能となり、他の管制センターにある管制システムへの接続切り替えを迅速に行えるようになる。

OpenFlowネットワークの構築により、数千カ所の本線設備ごとに設定変更を行う必要がなくなるという

 これにより、完全な機能停止に対して、これまで少なくとも数日間の復旧期間を見込んでいたものが数分程度でバックアップ(他センター)に切り替わり、最低限の機能補完が可能になるという。同社では、複数拠点に設置した実験環境を用いて試験を行い、切り替えが正常に行われることを確認している。

 NEXCO西日本では、新システムの構築完了によって、大規模災害により道路管制センターが致命的なダメージを被った場合でも、本線設備の監視と制御を継続し、高速道路利用者に対する情報提供の継続が実現すると述べている。

■関連サイト

カテゴリートップへ