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スマートウォッチ「Pebble」の舞台裏を探る

2014年04月28日 18時51分更新

文● Owen Thomas via ReadWrite

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ReadWriteがスマートウォッチメーカーの本社を訪問取材!

Pebble

Googleは今のところスマートウォッチを市場に出していない。Appleも同様だ。しかしPebbleは1年以上も前から、革新的なコンピューターの世界で次の一歩を踏み出す準備ができている熱心な消費者に向けて、手首装着型ガジェットを販売している。その結果、今日までに40万台以上のデバイスが消費者の手首に装着された。

Pebbleの舞台裏を探るために、私はカリフォルニア州パロアルトにある創業間もないスマートウォッチメーカーの本社を訪問することにした。

カルトレインの駅から1ブロック程の距離にある、木が生い茂る通りに建つオフィスは地味な印象だ。中に入って最初に目に付くのは、Tシャツや景品などの展示である。この会社では時々、ふらりと立ち寄った客にスマートウォッチの販売もしているようだ (Pebbleの発送遅延をカバーする良い方法だ)。きちんとした店舗というものはない。その代わりに、フロントデスクでPebbleの従業員たちがモバイル決済サービスのSquareリーダーにカードを通して販売を行っている。

Pebble

Pebble本社には小さな販売エリアがある。Tシャツなどのロゴ入りウェアは無料だ。社内ではPebbleスマートウォッチが販売されており、決済はSquareのカードリーダーで行われる。

Pebbleの従業員70人のほとんどがパロアルトのオフィスで働いている。世界に拡大したPebbleの創業地はカナダであり、そこで働く者もいる。CEOのエリック・ミジコフスキーは、ポーランドのヴロツワフからも技術者を1人採用している。6万8千回もダウンロードされている盤面は、その技術者が開発したものだ。

Pebble

ビジネス開発部と経理部はPebble本社に専用エリアがある。

コンクリート壁の建物は開放的で、光に溢れている。そのため、エンジニアの中にはモニターの日よけ対策としてIkeaのLÖVA ベッドキャノピを使用している者もいる。

Pebble

エンジニアの中にはモニターの日よけ対策としてIkeaのLÖVA ベッドキャノピを使用している者もいる。

オフィスを一回りすると、この会社が典型的なアプリ開発企業とはちょっと違っていることがすぐに分かった。シリコンバレーには以前に比べてハードウェアメーカーが少なくなっているのだが、ここには返品や修理品を取り扱うエリアがあり、回路基板や電子試験機がオフィスの隅々に転がっている。

Pebbleがほんのわずかな従業員で多くを成し遂げてきた事は驚嘆に値する。AppleやGoogleがウェアラブル・デバイスの計画に奮闘している間に、Pebbleはそれを実際に製造し、販売してきたのだから。

これは決して偶然の産物ではない。実はPebbleは長い間ウェアラブル・デバイスに取り組んできたのだ。Pebbleスマートウォッチが世に出る前には、Allerta InPulseが存在した。これはBlackBerryやいくつかのAndroidスマートフォンと連動する、スマートウォッチの先がけだ。会議室にはまだ古いInPulseのポスターが貼られていて、郷愁を誘う古いデバイスの箱が積まれている。

Pebble

Allerta InPulseはPebbleチームによる最初のスマートウォッチ。


ウェアラブルの未来をデザインする

Pebbleには、過去だけではなく未来にも注目すべき点がある。倉庫と間違えそうな、ほとんど隠し部屋のような場所に、Pebbleのデザインラボがあった。ラボには数十個の腕時計が置かれており、ボードには一面に、前腕と手首の解剖図や、消費者がスマートウォッチを求める理由の研究内容など、デザインのインスピレーションとなる資料が掲示されている。

Pebble

Pebbleは前腕と手首の解剖学も考慮してスマートウォッチをデザインしている。

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典型的なモバイルアプリ企業では、このような器機を目にすることはないだろう。

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スマートウォッチ購入者が一番興味を持っているのはフィットネスアプリだ。

Pebbleのリーダーであるミジコフスキーは、オフィスで最も大きい部屋の中心辺りにある机で立ったまま働いている。オフィスに掲げられた「戯言禁止」のスローガンの下、彼はこの高い位置から室内の空間に安定感や穏やかさをもたらしている。

Pebble

Pebble CEOのエリック・ミジコフスキーは立ったまま働いている。


Pebbleにとって今は試練の時

Pebbleのビジネスに戯言を言う暇はない。Pebbleが早々とリードしたにも関わらず、スマートフォン・ビジネスの大手企業がウェアラブル・デバイスの波に乗り遅れまいとしているのは明白である。他社の最新デバイスにあるような、カラーディスプレイやタッチスクリーン・インターフェースは、Pebbleにはない。ただし、それらの付加機能が果たして必要かどうかは分からないが。

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Pebble

RadioShackより多いコンポーネントの数

Pebbleの強みはシンプルさである。このスマートウォッチは、シンプルで厳選されたタスクをこなす事が得意なのだ。例えば通知機能だが、これのおかげでユーザーはスマートフォンをポケットの中に入れたままにしておける。今後、このシンプルさの他にどんな特徴が加わるかは、スマートウォッチ用の盤面やアプリや開発する独立系デベロッパーの活躍にかかっている。個人的にはFoursquareアプリがお気に入りだ。私は常日頃から、誰かと会っているときに電話を取り出してチェックするのは失礼だと思っていた。しかしPebble Foursquareアプリでは、ボタンを数回タップするだけでチェックができるのだ

Pebbleの未来はどうなるだろう。また次回、ミジコフスキー本人から話を聞くのが楽しみだ。


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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