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ワイヤレス給電における世界勢力地図の動向が気になる

TDK、非接触給電分野で米WiTricityと提携

2014年04月28日 18時32分更新

文● 行正和義

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WiTricityのワイヤレス給電

 TDKは4月28日、米WiTricity(ワイトリシティ)と非接触電力伝送技術に関するライセンス契約を締結したと発表した。WiTricityは米国と世界市場でワイヤレス給電の技術を多数保有しており、TDKはEV用充電器の開発を進める。

 非接触電力伝送システム、つまりワイヤレス給電は日本ではスマホ用ワイヤレス充電器Qi(チー)がよく知られているが、Qiで用いている方式は「電磁誘導方式」で、向かい合わせにしたコイルの一方に電流を流せばもう一方のコイルに電流が発生するというしくみ。

 WiTricityが普及を進めるワイヤレス給電は「磁界共鳴方式」を用いており、コイルが発生する磁界が別のコイルに共鳴振動を発生させ、そこから電力を取り出す。電磁誘導方式ではコイル同士をかなり近づけ、位置も合わせる必要がある(汎用Qi充電器では充電台内部でコイルを移動させている)のに対し、磁界共鳴では1mを超える距離でも高い効率で伝送でき、位置合わせの必要も少ないのが特長。スマホ用充電器は「Rezence」の名称で商品化される。

 TDKはフェライトをはじめとする独自の磁性材料を持ち、回路技術などによってスマホ向けワイヤレス給電コイルなど製品化、EV向けのワイヤレス給電システムの開発なども進めてきた経緯があり、今回ライセンス契約を機にEVなどのモビリティ向けのワイヤレス充電器の早期実用化を進めるという。

 WiTricityでは1.8m程度で実用レベルのワイヤレス給電も実現しており、部屋にひとつ送電装置を置けば室内のスマホやノートパソコンを利用できるといったACアダプタ要らずな環境を目指している。今回の提携はEV充電器開発がメインではあるが、次世代モバイルの給電環境をどのようなメーカーが担うか注目しておきたい。

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