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ローパスレスなミラーレス「α7R」を大解剖! 第1回

仕上がり具合は最高の一言!

フルサイズ3600万画素でローパスレス!ソニー「α7R」の基本性能をチェック

2014年04月28日 20時00分更新

文● 周防克弥

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デジイチの魅力は大きな撮像素子にある

 デジタル一眼カメラ(デジイチ)は、一般的にコンパクトデジカメ(コンデジ)よりも素子面積が大きい分、高解像度に強く、画質が良い。写真の評価を画質だけで判断するのは間違いだが、多くの場合において画質がよいにこしたことはない。

一眼レフライクなシンプルなデザイン。大きめのグリップは安定感が高くしっかりとホールディングできる

 一般的なコンデジで採用されている撮像素子サイズは1/2.3型くらいが主流で長辺が約5.9mm程度でしかない。最近巷で人気のミラーレス一眼と呼ばれているデジカメにはいくつかの素子サイズがあって長辺が約13mmの「1型」、長辺が約17.3mmの「フォーサーズ」(マイクロフォーサーズも同じ)、長辺が約23mmの「APS-Cサイズ」などがある。どれもコンデジに比べると撮像素子面積は膨大に広い。しかし昔ながらの銀塩フィルムで一般的な「35mm判」では長辺が36mm、短辺が24mmほどあって、「APS-Cサイズ」の撮像素子よりも約2倍の面積を持っている。そんな35mm判サイズの撮像素子を採用しているのが「α7R」だ。

 35mm判フルサイズ採用のデジカメにはプロ御用達な雰囲気が強く、高くて重くて大きいな印象が強い。しかし「α7R」は見た目は一眼レフっぽくはあるがカメラの構造的にはミラーレス一眼に属していて「一眼レフ」の「レフ」部分がない。

 この「レフ」部分がカメラの構造的にけっこう大きなスペースをとるため、一眼レフは大きくなりがち。だが、ミラーレス一眼は、ミラーレス構造によって「レフ」の部分つまり「ミラーボックス」がないため、本体をかなり薄くできる。

 一応補足をしておくと、「一眼レフ」は「Single-lens reflex camera」という英語の和訳だ。構造的な説明をすると、撮影用レンズとフィルム面の間に斜めに反射鏡を置いてレンズからの光がフィルム面に届く前に屈折させてファインダー側に結像させる仕組み。撮影時には反射鏡を退避させてフィルム面に結像させて写真を撮るようになっている。

 このシステムが出てくる前までは、撮影用と構図とピント確認用とで2つのレンズをつけた「二眼レフ」(ローライレフレックスなどが有名)、構図確認用のファインダーとレンズの繰り出し量を測って光学距離計を用いてピントを合わせる「レンジファインダーカメラ」があった。後者の代表的なのが「ライカ」などで、ともに撮影用レンズを直接確認しているわけではないので、微妙に構図がずれたり、レンズの種類によっては高精度にピントを合わせるのが難しかったりした。「一眼レフ」システムの登場で、ファインダーで見たままの構図で写せたり、高精度のピントを合わせることが可能になった。

 この反射鏡を置いてあるスペースがミラーボックスと呼ばれていて、一眼レフのレンズを外すと斜めにミラーが置いてあるスペースを示している。

たまたま見つけた「α6000」と大きさ比較。撮像素子サイズが2倍近く大きいが上部のEVFの膨らみ以外、大きさはあまり変わらない

 「α7R」のボディサイズは幅約126.9mm、高さ約94.4mm、奥行き約48.2mm、本体のみの質量は約407gで姉妹機の「α7」と質量以外は同じだ。しかし見た目は同じでも実は材質に違いがあり、「α7」よりも約9gほど軽量になっている。重さの差は持ち比べてもそうそう違いは解らないが、本体の剛性感やダイヤルの質感など、触っていじってみると何となく安定感を感じる造りになっている。

正面マウントの置くにセンサーが見える。右のα6000のAPS-Cサイズと比べるとかなり大きいのがわかる

 そして何よりも違うのがセンサーだ。「α7」の約2430万画素からさらに増え、「α7R」は約3640万画素、約1.5倍の画素数を持っている。一般に、センサーサイズが同じで画素数だけ上がると画素1つあたりの面積が小さくなるので、画質への影響が懸念される。だが、「α7R」は、画素の前面にあるオンチップレンズをレンズからの入射角度に合わせて適切に配置することで集光率を高くする「ギャップレスオンチップレンズ構造」、画素の配線層を低くして集光率を上げてノイズを少なくする「高集光プロセス技術」、画素そのものの設計を最適化して光を取り込む面積を拡大することでダイナミックレンジを広げる「ワイドフォトダイオード設計」などの技術の向上によって、高画素のまま高画質で低ノイズな写真が記録できるようになっているらしい。

大きめのモードダイヤルや右端の露出補正ダイヤルなど、最新のデジタル機器だが操作はアナログ的な部分が多い。むしろそれが使いやすい

背面側はボタンが一気に増える。が、それぞれに機能を示すアイコンが表示されているので操作が難しというほどではない。上面と合わせて「C番号」と表記されたアイコンは機能をカスタマイズできるボタンで、自分の好みの機能を割り当て可能だ

 また画素数が増えているだけではなく、ローパスフィルタレスになっている点にも注目だ。ローパスフィルタはモアレや偽色が出ないよう大抵のデジカメに採用されており、主に撮像素子の前面に文字通りフィルタとして存在していた。しかし画像処理の技術進化が進み、物理的なローパスフィルタがなくても、モアレや偽色を軽減できるようになってきた。このため、画質重視の方向性を持ったデジカメでは採用しない場合が多くなってきている。

 実は、ローパスフィルタは撮像素子に結像する直前のレンズの光をいったんぼかしてしまうので、レンズ本来の持ち味や解像力、また撮像素子本来の性能をちょっとだけ損なってしまう可能性がある。こうした事から、ローパスフィルタは、可能ならない方が良いのだ。

右手側にはメディアスロットがある。コンシューマ向けのデジカメの場合には電池ボックスの中に一緒に収めてしまうことがあるが、これなら三脚に装着したままでもメディアの交換が可能だ

グリップ内部は電池ボックスになっていて下から交換。同社のNEXシリーズを含め、ミラーレス機は発売以来共通のバッテリーを使用している。これはうれしい仕様

側面には「Wi-Fi」と「NFC」のマークが見える。無線LANによるネット接続が可能なほか、NFCでスマホとの連携もワンタッチで可能だ

背面液晶モニタは上下のチルト機能を持つ。上には約90度、下には約45度。下を向く写真を見るとわかるが、本体よりも下に液晶の枠がはみ出るので、大きめの三脚などに装着している場合には注意が必要だ



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(次ページ、「本体の紹介だけで終わりそうなので少しはサンプルを」に続く)

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