実はソフトウェア開発志望だった
―― 内山さんは大学では何をされていましたか?
内山 私は情報通信工学なので、どちらかと言えばソフト寄りです。
―― じゃあ、何でいまハードなんですか?
内山 ソフト配属で採用されたし、ハードの希望も出してはいなかったんですけど、研修が終わって「今年は全員ハードだな」って部長から言われて。わー、嘘だろうって。だから私は会社に入ってから覚えたことのほうが多かったですね。大学でも回路の授業はあったんですが、デジタル回路とか言われても……って感じ。
―― 実はハードは嫌いだとか?
内山 小さい頃からネジを回すのは嫌いではなかったです。でも本格的に自分で設計をやるのは、会社に入ってからですね。その分、新しい世界だったから、ハード研修がすごく楽しかったんですよ。まず回路図を渡されて、部品が書いてあって、それを持って自分で部品を秋葉原へ買いに行く。それを研修期間中に仕上げるというカリキュラムだったんです。それが無茶苦茶楽しかったんですよ。上野さんもハード研修やりました?
上野 私もその研修が楽しくて、自分の希望を会社に言うときに最後まですごく迷いました。ハードを志望しようか、どうしようか。
なぜ楽器メーカーを志望したのか
―― そもそも就職先の選択肢としては、ソフトウェア開発だとほかにもっとあるわけですよね。なぜ楽器メーカーなんですか?
内山 私は音を仕事にしたいと思っていたんです。楽器とかスピーカーとか、その辺のメーカーを回っていました。私、生まれて初めて買ったシンセがコルグのシンセだったんです。リードの音がカッコよくて。今でも大事に使っていますけど。
―― 何を買われたんですか?
内山 TRです。階層が深くて大変なんですが、いじれるパラメーターが多くて楽しいんです。私はそれで音作りを知ったようなものなので、楽器を作るんだったらここに行きたいという想いは強かったです。
―― 上野さんはどうですか?
上野 私は管楽器をやっていたのでチューナーを使っていました。
―― あ、なるほど。コルグのチューナーは人気ですもんね。
上野 私が就職活動を始めた頃に、最初のKAOSSILATORが発売されたんです。私は小さい頃からずっと音楽をやっていたので、その延長で来ているんですけど、「音楽をやってみたいけど楽器が高い」とか「なんだか難しそう」というので、音楽を始められない人は沢山いるんだろうなと思っていて。でもKAOSSILATORは誰でも音が出せて、すぐ曲みたいになって、楽しいじゃないですか。そういう製品を作って、いろんな人に楽しんでもらいたいと思って。
この連載の記事
-
第164回
トピックス
より真空管らしい音になるーーNutubeの特性と開発者の制御に迫る -
第163回
トピックス
超小型ヘッドアンプ「MV50」のCLEANは21世紀の再発明だった -
第162回
トピックス
欲しい音を出すため――極小ヘッドアンプ「MV50」音色設定に見る秘密 -
第161回
トピックス
最大出力50Wのヘッドアンプ「MV50」は自宅やバンドで使えるのか? -
第160回
トピックス
新型真空管「Nutube」搭載ヘッドアンプのサウンドはなにが違う? -
第159回
トピックス
開発で大喧嘩、新型真空管「Nutube」搭載超小型ヘッドアンプ「MV50」のこだわりを聞く -
第158回
トピックス
唯一無二の音、日本人製作家の最高ギターを販売店はどう見る? -
第157回
トピックス
「レッド・スペシャルにないものを」日本人製作家が作った最高のギター -
第156回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターを日本人製作家が作るまで -
第155回
トピックス
QUEENブライアン・メイのギターは常識破りの連続だった -
第154回
トピックス
てあしくちびるは日本の音楽シーンを打破する先端的ポップだ - この連載の一覧へ