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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第34回

iPhoneで使えるキッチン温度計「Range」が届いた

2014年04月24日 17時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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iPhoneにつないで利用できる温度計が登場

 米国のキッチン用品店は季節感があって、ついついApple Storeにふらりと立ち寄るように、買うあてもなく眺めに行くのが楽しいです。例えばWilliams-SonomaやSur La Tableといったチェーン展開をしているショップは、夏はピクニックやキャンプ、冬のシーズンは感謝祭やクリスマス、バレンタインといった恒例の行事に合わせて、店舗の色や特集する製品を入れ替え、まるで雑誌のような楽しさです。

 先日こうしたキッチン用品のお店を見ていると、オーブン用品として温度計がありました。オーブンの中の肉などに突き刺して、内部の温度を測るためのものですが、温度計の目盛りがその棒の部分の先端に付いているものだけでなく、オーブンの中からコードが伸びて、温度が見られる部分がオーブンの外に出てくるタイプのものもありました。こうして、調理ができたかどうかを測ることができるわけです。

RangeをiPhoneに接続すると、すぐに温度が表示される。ちなみに米国では華氏を利用しているため、室温が76度(摂氏24度)であることを示している。アプリ内で摂氏にも切り替えることができる。ハッキリいって華氏っていまだに慣れません

 そうして物色しているときに、今回紹介するガジェットに関するプロジェクトのメールが来ました。「Range」という名の、iPhoneで使う温度計です。このプロジェクトは資金調達に成功し、製品化され、4月上旬に製品が出資者に発送されました。出資したのは2156人、9万ドルの目標に対し、17万ドル以上を集めました。

 Rangeは、キッチン用品店で見た温度計の先に耐熱シリコンの取っ手が付いており、そこからコードが伸びてiPhoneやiPadのイヤホンジャックへと差し込めるようになっている温度計です。筆者が手に入れたのは肉などをフライパンで焼くためのタイプで、先が尖っていますが、これ以外に温度を感知する長い棒が取り付けられたタイプもあります。

 Rangeと組み合わせて利用するのは、無料のiPad/iPhone向けアプリです。早速RangeをiPhoneに差し込むと、現在の室温が画面に表示されました。これを、コップに注いだお湯に入れると、だんだん温度が上がっていきます。画面全体が温度計のバーのように見えるデザインも気に入りました。

Rangeのアプリでは、温度の部分を上下にスライドさせると、アラームが鳴る温度を簡単に設定できる。また、通常のグリル用のRangeを差し込むと、肉の焼き加減のプリセットを肉のタイプ別にセットできる

 一定の温度になるとアラームを鳴らすことができます。例えば湯が沸騰した状態から88度まで下がったら、あるいは肉を焼き始めて内部の温度が80度になったら、といった具合に、温度の上昇と下降両方にアラームをセットできる仕組みです。差し込むRangeのタイプによって、肉の焼き加減やキャンディー作りに最適な温度変化などのプリセットを使うこともできます。

 例えば、鉄板で焼くグリル用のRangeの場合、牛/豚/鶏/ハンバーグといったプリセットがあり、それぞれで焼き加減(レア/ミディアム/ウェルダン)の状態の内部温度のアラームを一発でセットしてくれます。ちなみに、意外とウェルダンでも温度は70度台なんですね。知りませんでした。

設定しておいた温度に到達すると、音が鳴り、画面にアラートが表示される仕組み。複数の設定温度を入れておいても、そのつど鳴るので、レア、ミディアムレア、ミディアムと1つのフライパンで焼き分けるときにも便利そうだ

 またiPadを使うと、温度変化を折れ線グラフで表示することができ、前述の通りキャラメルやチョコレートを作る際に最適な温度と時間の状態になっているかどうかがわかります。

 Rangeを買ってきて、まだ肉は焼いておらず、オーブンも使っていないのですが、ぜひステーキや、サイフォンでコーヒーを淹れる練習に活用したいと思います。特にコーヒーは温度の状態によって風味がまったく変わってしまうことから、西海岸でもいくつかのスタートアップが、湯温を完全にコントロールするコーヒーマシンを開発していたりします。この話は、また別の機会に。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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