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DSD再生までも可能になった最強「ハイレゾウォークマン」活用術 第1回

開発陣を直撃! 最上級ウォークマンはこうして生まれた!!

2014年04月22日 12時00分更新

文● 海上 忍

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5万円程度の価格差がある「F880」シリーズとどこが違う?

左が「F880」シリーズで、右がNW-ZX1

左が「F880」シリーズで、右がNW-ZX1

 NW-ZX1が気になるとすれば、姉妹機の「NW-F880」シリーズも気になるのではないだろうか?

 S-Master HXやDSEE HXの搭載など、ベースのスペックはNW-ZX1と同等で、そのうえカラーバリエーションが豊富。デジタルノイズキャンセリング機能も装備し、価格もお手ごろ(16GBモデルの実売価格は2万3000円前後)……とあれば、どちらを買うか考えこんでしまうのも無理はない。

 しかし、両機の音を聴き比べてみると明らかに違う。S-Master HXがもたらす低音域の沈み込みと中高音域のキレのよさはF880シリーズでも確認できるが、NW-ZX1は低音がより引き締まり、音の輪郭がはっきりする印象だ。こればかりは試聴してもらうしかないが、ほぼ同じスペックながら明らかに「個性」が違う。

NW-ZX1のプロジェクトリーダーを務める佐藤朝明氏

NW-ZX1のプロジェクトリーダーを務める佐藤朝明氏

 プロジェクトリーダーの佐藤朝明氏にその点をたずねたところ、「ハイレゾは解像度の話で、音質はまた別な世界の話ですよね。スペックだけでいえばF880とZX1はそう変わりませんが、音はかなり違います。スペックではないところに音質がありますから。そこに着目したモデルがZX1です」とのこと。

 生じる違いは、コンデンサなどパーツの違いによるところが大きいという。「音質を追求する過程でコンデンサをいろいろ試しましたが、かなりの効果を確認できたのが“OS-CON”です」(佐藤浩朗氏)。

バッテリーの下に4つ、丸く並んでいるのがOS-CON

バッテリーの下に4つ、丸く並んでいるのがOS-CON

 固体電解コンデンサーであるOS-CONは周波数特性に優れるうえ、防振構造により基板が“音鳴き”しないメリットがある。ノイズ除去性能にも定評があり、デスクトップPCやオーディオ機器に豊富な採用実績を持つ。

 それにしても、物理的な大きさという制約はどう考えたのか。「この高さですから、普通に考えると入りませんよね。しかし、ほかの候補と聴き比べると、やはりこれがいい、どうせやるならこれだ、ということになりました。しかも、プラス/マイナス電源で計4基搭載するという……(OS-CONの)メーカーに問い合わせたときも、「ウォークマンに使うんですよね?」という言葉のあと、絶句していました(笑)」(佐藤浩朗氏)。

ZX1下部の隆起も計算ずくだ。「“ポケットに入る”サイズにすることは譲れなかったので、入る大きさでギリギリのところを狙いました」(佐藤朝明氏)とのこと

ZX1下部の隆起も計算ずくだ。「“ポケットに入る”サイズにすることは譲れなかったので、入る大きさでギリギリのところを狙いました」(佐藤朝明氏)とのこと

 その解決策が、下部を隆起させたNW-ZX1独特のフォルムというわけだが、パーツへのこだわりがOS-CONで終わらなかったところがおもしろい。

 「これをベースにもっと音質的にすごいものにしようという気運が生まれました。部品の大きさという制約が緩みましたからね。いろいろな部品で音を聴いて、これなんとか入れたいよね、と。この形状にしたからこそ(音質に有利な)大きいコイルやフィルムコンデンサを使えた、ということもあります」(佐藤浩朗氏)。

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