去る4月17日、ソニーのハイレゾ対応ウォークマンのアップデータ(無償)が公開された。DSDの再生が可能になるという、大幅な機能アップである(関連記事)。
同社のハイレゾオーディオに対する本気度が伝わってくるわけだが、ソニーはハイレゾオーディオを普及させていくうえで、ウォークマンというプロダクトをどう位置付けているのか? 今回は最上位モデルの「NW-ZX1」(実売価格7万6000円前後)を中心に、開発担当者に話を聞いた。
今できる高音質化の要素を全部つぎ込んだ
フラッグシップ「ウォークマン」の開発
NW-ZX1は、ソニーが社を挙げて推進する“ハイレゾ”に本格対応した初のウォークマン。しかし一方では、歴史あるウォークマンのフラッグシップ機でもある。
すでにハイレゾ対応をうたうポータブルオーディオが数あるなか、ウォークマンの名ゆえにただハイレゾ音源を再生できるだけでは足りない。ウォークマンらしいサムシングが必要なのだ。
まず、NW-ZX1という製品の企画意図をたずねたところ「弊社オーディオ部門全体の戦略として、ハイレゾ対応製品を増やそう、その一方策としてウォークマンを展開しようということなりまして。従来も高音質を掲げてはきましたが、さらにその上を狙っていこうと。とりあえず価格は脇に置き、今できる高音質化の要素すべてを投入しようと決まりました」(企画担当 中田氏)という明快な答えが返ってきた。音質の追求こそが、NW-ZX1のアイデンティティーというのだ。
それだけに“ハイレゾ”の捉え方も明確だ。「ZX1に関していえば、ハイレゾフォーマットを網羅するというエンドユーザーにとってのわかりやすさを押さえるとともに、それを体現できるよう高音質をプラスする……従来より突き抜けた感じを出したかったのです。価格から生じる制約は考えず、ウォークマンとして体現したことがないレベルの高音質、フラッグシップ機としてのクオリティーを示したかったのです」(中田氏)。
ハイレゾ対応が目標ではなく目指すのは音質、しかも価格に縛られない設計……それがNW-ZX1という製品の下地にある。いまウォークマンとしてできることを可能な限り詰め込んだ、そんな気負いが感じられた。

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