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グーグルのカメラ搭載コンタクトレンズ「Google Eyes」は実現するか

2014年04月21日 18時18分更新

文● Adriana Lee via ReadWrite

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新たな特許情報によって、グーグルが超小型カメラを搭載した「スマート・コンタクトレンズ」に取り組んでいることが明らかになった。

Google Contact

Google Glassヘッドギアでもカメラが苦手な人々を十分警戒させてしまうというのに、これがさらに、ほとんど気づかれないほど小さく薄い透明なレンズになり、角膜に直接装着するようになったらどうなるだろう?最近公表されたグーグルの特許(2012年出願)によって、グーグルの計画が明らかになった。

「スマート・コンタクトレンズ」という概念自体は特別新しいものではない。実際今年の初めにグーグルは、健康管理のための無線チップが埋め込まれたコンタクトレンズ型デバイスという、奇抜で壮大なアイデアを披露している。

しかし今回明らかになったコンセプトは、それよりさらにスマートなものだ。理論上、装着者は瞬きをするだけで写真を撮影することが可能なのである。


視線よるコントロール

今年の1月、グーグルのGoogle X実験ラボは、糖尿病患者のために眼球のブドウ糖を計測するコンタクトレンズをテストしていると発表した。グーグルは、このプロジェクトはGoogle Glassとは全く関係がないと主張していた。しかし、Glassの創設者ババク・パルヴィーズがそのコンタクトレンズ・プロジェクトの共同創立者に名を連ねていたことを考えると、そうとも限らなさそうだ。

パルヴィーズは、Patent Boltによって明らかにされた新たなグーグルによる特許出願(第20140098226)「アクティブなコンタクトレンズ上のイメージ・キャプチャー・コンポーネント」の共同発明者であり、他の類似特許にも同じく彼の名前が登場している。

この「イメージ・キャプチャー・コンポーネント」とは、どう考えてもカメラだと思われる。つまりこの特許の趣旨は、超小型なカメラをコンタクトレンズに埋め込み、瞬きなどのジェスチャーによってそれをコントロールするというものだろう。特許の明細によれば、「コンタクトレンズ装着者の視線上の対象をそのままイメージデータとして記録する」という。

言い換えれば、ユーザーの目線が移動すると、カメラの視界も装着者の視界を遮ることなくそれに追従する。場合によっては、装着者の視力の代わりをつとめるかもしれない。例えば、目の不自由な歩行者がこのグーグルのスマート・レンズを着用し、交通の激しい交差点等に近づくとアラートを受ける(彼らがAndroidスマートフォンから音声アラートを受けるように)、といったこともできそうだ。

Google Contact

カメラは制御回路とセンサーと共に動作する。そのセンサーとは、フォトダイオード、圧力センサー、伝導性センサー、温度センサー、電界センサー、マイクロメカニカル・スイッチなどだ。これらセンサー部分が眼球の位置と状態を判別し、それが他の機能に関するキーとして作用する。

グーグルによる他の関連特許と合わせて考えると、同社は高度な視線追跡の技術を追求しているようだ。これはAndroidスマートフォン、Google Glass、スマートテレビ、ゲームやオーディオ・システム、カーナビなど、様々なデバイスの操作に使えるだろう。

この発明が実用化される可能性はまだ高いとは思えない。だが「もし」実現すれば、我々は瞬きによって電子書籍のページをめくり、目をパチパチさせてミュージック・ライブラリーを選択するようになるかもしれないのだ。

このコンセプト自体はとても素晴らしい。しかし電源がなければ動作はしないし、コンタクトレンズにバッテリーパックを貼り付けることは不可能だ。これに取り組むために、グーグルはワイヤレスによる送電、あるいはセンサー自体が発電するという方法を考えているようだ。理論上は見事な解決策に思える。だが現実的な問題として、自分の眼球に電源やレシーバーがあることを、ユーザはどう思うのだろうか?

まだまだ他にも問題はある。


究極のスパイ・カメラ

これまでの視線によるコントロール技術は、高解像度カメラをユーザーの目に向けてその動きを追跡するものばかりだった。しかし今回のアプローチは反対に、ユーザーの目の方にセンサーとカメラを搭載してしまおうという考え方だ。

Google Contact

これによって、先例がないレベルの精度が得られるかもしれない。もしうまく行けば、それをさらに既存の最先端技術と組み合わせることで、医療や保安、軍事に至る様々な分野において革新をもたらす可能性がある。同様に、我々個人の生活にも大きく影響を与えることになるだろう。

最初に飛びつくのは、最先端のジェスチャー・コントロール技術が大好きな技術フリークや、「600万ドルの男」のようなバイオニック・アイにあこがれるSFマニア達かもしれない。しかし、移動や視覚に不自由を抱えた人々に対して、この技術が貢献できる可能性をぜひ考えてみて欲しい。

このデバイスが抱える最大の問題は、超小型カメラの存在だ。Google Glassですら、それを着用しているだけで攻撃されてしまうような世の中である。このシステムでは当然の流れとして顔認識も可能になるだろう。顔面に装着されたカメラが自分に向けられることさえ不快に感じる人々にとって、その存在に気付くことすら困難な超小型カメラをコンタクトレンズの中に搭載するというこの技術は、どう受け止められるのだろうか?

だがそんな心配に我々が実際に直面することはないかもしれない。ハイテク企業が一度も日の目を見ることのないような特許をなんでもかんでも申請するというのは、よくあることだ。一方で、これが完全に偶発的なアイデアだということでもなさそうだ。グーグルは少なくともコンタクトレンズ関連の特許を7件も出願しており、同社のパルヴィーズとそのチームがスマート・コンタクトレンズに真剣に取り組んでいることだけは間違いない。


画像提供:
トップ画像:Google
特許画像:Patent Bolt
「600万ドルの男」画像:screencapped and slightly altered from the DVD release (via YouTube user jamiesurgener)


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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