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Moogのエフェクター登場! シンセメーカーだからできる面白い音がイイ!

2014年04月20日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ファズに近いオーバードライブのMF Drive

MF Driveのノブは4つ。フィルターへの入力レベルを調整する「GAIN」、全体の出力を設定する「OUTPUT」、ローパス、ミッドスクープ、ハイパスと多様に変化するフィルターの「TONE」、カットオフ周波数を設定する「FILTER」。そして「DRIVE」スイッチはダウンの状態でゲインが+6.8dBから+48dB、アップで+16dBから+57dB。「PEAK」スイッチを入れるとカットオフ周波数のレゾナンスが+15dB上がります。エクスプレッション端子は「FILTER」に対応

 「MF Drive」はファズに近いオーバードライブです。かなり歪みます。最初にエフェクトオフ、そしてエフェクトオンで、どこかで聴いたことがあるようなリフを弾いています。最後はシングルノートでどれくらい歪むかを試すために、下手なリードを弾いています。



 いい感じの歪です。しかし注目すべきはそこではありません。Moogなのでフィルターがすごいんです。もう完全にシンセのVCFと一緒です。

 次のサンプルでは、まずゲインを最小からフルアップへ、さらに「DRIVE」スイッチを入れてゲインを最小からフルアップへ。そして一旦DRIVEスイッチを切り、「PEAK」スイッチを入れてフィルターの調整。最後にDRIVEスイッチを入れてゲインとOUTPUTを最大に上げた状態で、フィルターを回しています。



 途中で発振しているのがわかると思いますが、フィルターのノブを回すと発振するピッチも変わります。普通だったら発振するまでゲインが上がらないようにしておこう、なんて穏便な設計になるはずですが、やるんですねMoogだから。ちなみにギターのボリュームを少し下げても発振しますし、間違ってインプット側のケーブルが抜けても発振します。アナログって面白いです。



 最後に先のMF Boostをつないでサスティンがどこまで伸びるか試すとともに、ロバート・フリップの音が出るかを試しています。ぜんぜん弾けていませんが、強烈なフィルターとゲインアップによって音はかなり近いのではないでしょうか。この状態でアンプ側で歪ませれば、フィルターのレゾナンス効果をより強調することも出来ます。

 さて、テスト終了。「なんとかクローン」みたいなエフェクターが多い中で、シンセサイザーメーカーらしいアプローチはさすがと思わせるものがありました。ほかのメーカーのエフェクターより若干高いものの、それだけのオリジナリティーと音を持ったシリーズであると思います。

 特にエクスプレッションペダルを使うと、カットオフ周波数を足でコントロールでき、非常に過激なワウとして使うことができるMF Driveはヤバいです。かつてKORGに、シンセからVCFモジュールだけを取り出してコントロールペダルを付けた「V-C-F」という製品がありました。私もその昔に愛用しておりましたが、MF Driveはその再来のように思えました(つまり欲しい!)。



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター、武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。インターネットやデジタル・テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレ。

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