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中小企業がクラウドを入れない本当の理由

2014年04月23日 07時00分更新

盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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 2013年版の通信利用動向調査によれば「クラウドサービスを全社的に利用している」と答えた企業は全体の13%。3年前の4.2%から約10ポイント上がっており、クラウドに感心が高まっていることは確かだ。

 しかし、資本金50億円以上の大企業は52.4%がクラウドサービスを導入している一方、資本金1000万円以下の中小企業はわずか23.4%にとどまっている。クラウドは設備費用をかけずにITシステムを構築できるのがメリット。本来は大企業より、ITベンチャーをはじめとした中小零細企業こそ向いているはずだ。

 中小企業がクラウドをなかなか入れないのはなぜなのか。

 調査会社ノークリサーチのアナリスト、岩上由高氏によれば、中小の経営者には「ITのコストが見えていない」のだという。社内IT担当者が兼任で、そもそもIT担当者としての人件費を支払っていない。「中小は兼任がほとんどで、資金のあるところしか専任は入れない」(岩上氏)のだ。

 一方、微増とはいえSIerにとってクラウドは死活問題。誰でもシステムを組めるとあれば、システムの短納期化・低価格化でも限界がある。そのため現在クラウドを「ドアノックツール」として使う例も出てきているという。

 「たとえば、GoogleAppsはタダで導入を手伝って、有料の顧客管理システムを提案するとか。売るのはあくまでオンプレミス(社内サーバーを使ったシステム)で、クラウドはあくまでも旧来型のシステム開発の呼び水として使う。最終的にGoogleAppsがその会社に受け入れられるかどうかは関係ない」

 Googleのようなパブリッククラウド系のサービスでクラウドの利便性を実感してもらえば、「複数拠点にサーバーを持って、事業システムのプライベートクラウド化を進めてはどうか」といった提案もしやすくなる。

 しかし、提案は既に遅きに失した感がある。「4月の消費増税までに活用提案をしなければいけなかった。『スマホを活用しよう』とか『50万円でいいから予算をくれ』とか」(岩上氏)。ところがXPの駆け込み需要に目を奪われ、クラウド時代に歩みを進めたSIerは少ない。これは非常に大きな機会損失だと岩上氏は言う。

 「中小はIT投資の予算がないということも多いが、その一方で先物や不動産に投資しているケースも一部には見受けられる」(岩上氏)

 一方、大手の社内では情報システムからクラウドへという大きなうねりが起きている。しかし、そこではクラウド特有の問題が立ち上がっており、コスト削減のために「情シス(情報システム部門)不要論」を唱えた上層部の頭を悩ませはじめている。この事情は4月24日発売の「アスキークラウド2014年6月号」の特集で取り上げている。


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