AMDのダブルゲート・トランジスタ発表の2日後に
インテルがトライゲート・トランジスタを発表
話をトライゲートに戻そう。テラヘルツ・トランジスタを従来のプレーナ(平面)構造で構成しようとすると、どうしても難しい要素があった。シリコン層の厚みを制御する問題だ。その問題解決に、翌2002年に発表されたトライゲート・トランジスタの構造は都合が良かった。
先に、この当時はインテル以外にも多くのメーカーが3D構造に挑戦していたという話は述べた通りだが、実はAMDはこの発表の2日前にダブルゲート・トランジスタという構造を発表している。
インテルのトライゲートは、出っ張った部分の左右と上の3方向をすべてゲートとするので「トライ」ゲートである。AMDは上に当たる部分(右上の写真の左側の図で示すとゲート1にあたる)を省き、左右(同じくゲート2と3)のみを形成した構造である。それもあってか、インテルはダブルゲートよりもトライゲートの方が効率がいいとアピールしている。
具体的には、トライゲートの場合は厚みを比較的大きくしても動作するが、ダブルゲートでは薄くしないといけないのが難点だと指摘している。
話を3D構造に戻すと、3D構造方式のメリットは複数のFETの並列構造を簡単に作りやすい、という点が挙げられる。ゲートが共通なので別々の回路を構成するわけにはいかないが、逆に大出力が必要とされる場合には、特性のそろったマルチ・チャンネル・ドライバーを構成可能というわけだ。
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