
今回のテーマはフィリップスのSlim Styleという電球。点灯させてみると、一見普通の白熱球のように見えるのですが、ここにはデザインとアイディアのイノベーションが隠されていました
フィリップスと聞くと、皆さんはどんな製品を思い浮かべるでしょうか。たとえばCDの規格策定にも関わったことから、オーディオ機器のイメージを持っている方も少なくないでしょう。あるいは、ひげそりや電動歯ブラシなど、洗面所で使う製品も定評があります。米国では赤ちゃんのおしゃぶりを始め、家庭用の医療機器としても、たくさんの製品が利用されています。
そんなフィリップスで最近話題になっているのが「HUE」と呼ばれるLED電球です。
HUEは、Wi-Fiに対応し、iPhoneアプリからON/OFFや明るさ、色などをコントロールすることができる、「スマート電球」というべき初めての製品です(関連記事)。また、ウェブサービスをレシピを作って連携させるサービス「IFTTT」にも対応し、日の出に合わせて電気を消したり、雨の日は青く光らせるといった設定も可能になります。
しかし、今日ご紹介したいのは、もっとシンプルかつ、デザイン的にも懐かしい、Slim StyleというLED電球です。
白熱電球が、ぺったんこに
Slim Styleという新しいシリーズとして発売されたフィリップスのLED電球は、パッケージを見ると、これまでの白熱電球と同じような、誰が見ても「電球」と答えるデザインをしています。口金から緩やかに丸い弧を描いている形は、なじみがあるだけでなく、こういう形を前提とした調光器具にフィットすることを意味します。
電球を手に取り、真横から見てみると、これが普通の電球でないことがわかります。なんと、ぺったんこ! 電球は球状だからこそ電球と呼んでいたはずですが、このSlim Styleが電球の形をしているのは正面だけで、サイドから見ると薄っぺらい板のような形状になっているのです。
早速家にある器具に取り付けてみると、光はどこか一方向に向かって強くなっていることもなく、均等に部屋全体に広がりました。フードをかぶせても普通の白熱球が入っているようにしか見えません。つまりLED電球が特別なものではなく、普通のものとして扱えるようになったのです。
蛍光灯電球の問題点を克服
機能面でも、より普通の電球のように扱えるようになりました。これまで白熱球とLED電球の間に蛍光灯電球がありましたが、蛍光灯電球の問題点も克服していると言えます。
蛍光灯電球は環境性能が高く価格も抑えられていることから、今でも米国では数多く扱われていますが、スイッチを入れてから明るくなるまでに時間がかかるものも、まだまだ少なくありません。また、手元で明るさを調節することができる器具の場合、蛍光灯電球では上手く動作しないか、一定以上の明るさにしなければ点灯しないといった問題点がありました。
そして形状。蛍光灯電球もなるべく白熱球のサイズに合うように小型化されていますが、それでも、長さや膨らみなどで合わない器具があったり、むき出しの蛍光管が天井に付いているのは見栄えが良くありません。
Slim Styleは、スイッチを入れればすぐに明るくなり、調光にも対応し、蛍光管むき出しの電球と比べてもエレガントです。機能面、デザイン面で、この製品は、LED電球に新しいイメージを持たせるだけでなく、電球そのものの存在を「未来化」しようという意欲を感じることができます。

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