High-K材料+Metal Gateは大成功
インテルは45nmプロセスに以降
HKMGによる効果は非常に顕著だった。下の画像は80nm NMOSでの試作結果であるが、Gate OnとGate Offの電流比は1000倍以上にも達していることがわかる。
まだこの時点では90nmのP1262が利用されていたから、実際の45nmでどうかという数字は当然出てこない。こちらに関しては、実際にP1266が動き始めた2007年1月に、もうすこし具体的な数字で示された。下の画像がその結果である。
スイッチング電力を30%削減でき、スイッチング速度が同じならサブスレッショルド・リークを5分の1に、あるいはサブスレッショルド・リークを同じに保てば速度を20%向上させられるとした。
またゲート・リーク電流は10分の1に削減できたとしており、HKMGを導入した効果は確かにあったということだ。この45nm世代における主要な構成は2007年の時点で初めて明らかにされた。
インテルとしては、このHKMGプロセスをモノに出来たのは非常にうれしかったのだろう。この2007年の秋に開催されたIDFでは、下の画像の衣装までわざわざ作ったほどだ。
もっともこの45nmプロセス、ハイスピードロジック向けのP1266は成功を収め、Penryn世代のCore 2や、初代のNehalemに採用されたほか、AtomもまたこのP1266を利用して製造された。
ただAtomの本命は、このP1266をベースにSoC向けとしたP1267になるはずであった。このP1267に関しては最終的にP1266.8という名称で、ごく一部の製品を製造するに至ったに過ぎない。
実際このSoCプロセスが満足に作れるようになったのは、次の32nm世代のSoCプロセスであるP1269であり、これもあってかインテルの45nmプロセスのページにも、SoC周りの話が一切ないのはもはやご愛嬌というべきか。ただ、そうは言ってもHKMGの実現は他社に比べて3年近く先行していたのは事実である。
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