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アルバ、屋外向けのIEEE802.11ac APを新たに投入

デバイスの自由度を優先する世代には全無線化がオススメ

2014年04月07日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月3日、エンタープライズ向けの無線LAN製品を手がけるアルバネットワークスは#GenMobile(ジェネレーションモバイル)に向けた全無線化アーキテクチャ「Aruba Mobility Defined Network」および屋外向けの802.11ac対応アクセスポイント(AP)を発表した。発表会とインタビューで製品戦略について解説する。

昼飯代より好きなデバイスが使えること重視

 発表会の冒頭登壇した米アルバネットワークス ワールドワイドセールス エグゼクティブプレジデント ジョン・ディルーロ氏は、同日付で発表された報告書「#GenMobileへの備えは万全ですか? APAC版」の内容を元に#GenMobileの動向について説明した。

米アルバネットワークス ワールドワイドセールス エグゼクティブプレジデント ジョン・ディルーロ氏

 アルバの言う#GenMobileとは、モビリティを重視した従業員グループを指す。PCやタブレット、スマートフォンなど3台以上のコネクテッドデバイス(インターネット接続可能なデバイス)を所有し、朝起きたらTVや新聞よりもコネクテッドデバイスで情報をチェック。勤務中かどうかを問わず常時オンラインで、1日4時間以上をコネクテッドデバイスと過ごしているという。

 こうした志向があるため、特定の勤務時間や勤務場所に依存しない自由度の高いワークスタイルを望む傾向が高く、昼食代の支給よりも、自分の好きなデバイスを使えることを望む。さらに#GenMobileの多くは3G/4Gや有線など他の接続手段より、無線LANを好む傾向が強く、特に日本では全体の79%がWi-Fiの利用を好むという。

柔軟性の高いワークスタイルとモバイル重視の従業員グループ「#GenMobile」

 ディルーロ氏は、こうした#GenMobileの潜在能力を解き放ち、企業の競争力を上げるためには全無線化されたワークプレイスが必要だと訴える。「従来の無線LANはあくまで既存のネットワークに追加するようなもので、カフェテリアや会議室で使われているようなイメージだ。しかし、現在は電気や水道と同じ、ユーティリティになっている」(ディルーロ氏)。

 ディルーロ氏は、こうした全無線化の需要に関して「GoogleやMicrosoft、Facebook、Yahoo!、e-Bayなどハイテク企業がワイヤレスのワークスペースを求めている。セキュアな製品なので、政府機関、軍関係でも導入は多い」と語る。その他、教科書の電子化を進めている教育機関、直接顧客とタッチする小売、ホテル、病院のほか、スタジアムやジムなどのスポーツ施設でも全無線化のニーズは高いという。

目指すは全無線化のワークスペース!

 しかし、全無線化ワークプレイスには、速度、セキュリティ、使い勝手、安定性などいくつもの課題が立ちはだかる。今回発表された「Mobility-Defined Network」では、IEEE802.11acの導入を踏まえ、こうした課題を解決すべく構築するものだという。

 最大の問題は、端末やユーザーの増加で、Wi-Fiの速度が低下することだ。これに関しては、IEEE802.11nの3倍高速なIEEE802.11acを使う。米アルバ プロダクトマーケティング ディレクターのクリスティアン・ギルビー氏は、「すでに400以上のデバイスが認定を受けており、スイッチのアップデートも必要ない」と述べ、業界初を謳うエンタープライズ向けの屋外向けIEEE802.11ac対応AP「Aruba AP-270シリーズ」を紹介した。

米アルバ プロダクトマーケティング ディレクター クリスティアン・ギルビー氏

 Aruba AP-270シリーズは低音・高音、湿気、降雨、空気中の汚染物質など過酷な屋外環境に対応できるよう設計されており、電気的なインターフェイスも高いレベルのサージ保護が施されているという。また、特許取得済みの「ClientMatchテクノロジー」により、リアルタイムで最適なAPにステアリングできる。ギルビー氏は、「ClientMatchでは信号の強さを検知し、移動しても、最適なAPに置き換えることができる」と語る。

どこか炊飯器に似ている屋外向けIEEE802.11ac対応AP「Aruba AP-270」

 また、セキュリティや使い勝手、安定度などを強化するため、Aruba OSやその上で動作するソフトウェアに5つの機能強化が施されている。1500以上のアプリケーションを識別し、ポリシーに基づいて暗号化やQoSなどを施すファイアウォールが追加されるほか、統合管理を行なう「AirWave」ではMicrosoft LyncなどのUC(Unified Communication)を可視化する新しいダッシュボードが用意される。「Mobility-Defined Networkにおいては、次世代ファイアウォールの搭載は大きい。ゲストネットワークでストリーミングを使ってもらいたくない場合は、ネットワークを選択し、ブロックすればよい」とギルビー氏はアピールする。

 さらにサードパーティとAPI連携することで、ゲストのセキュリティを確保するClearPass ExchangeやWi-Fiとアプリケーションのログインを統合する自動サインオンなどの機能も追加。デバイス同士で画面やストリーミングを共有できるAirGroupでは、アップルに加え、新たにDLNAやUPnPをサポートした。

 これらアルバのソリューションは確かに#GenMobileにアピールするが、IT部門にとっても効果は大きいという。アルバ自体がMicrosoft Lyncを導入し、全社無線化に取り組んだところ、「デスクフォンを取り去り、接続ポートやメンテナンス、電力などを削減できた。部署異動での引っ越しコストなどまであわせると、1人の従業員あたり900ドルのコスト削減につながった」(ディルーロ氏)という。ワークスタイルの変革を検討している企業だけではなく、コスト削減を狙うIT部門にとっても全無線化のメリットは大きいようだ。

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