韓国のベンチャー、5Rocksはスマホアプリに特化した分析運用ツール「5Rocks」を4月2日より正式版に移行することを発表した。同時に2014年末までに全世界で3,000アプリへの導入を目指すことも発表された。
5Rocksの日本法人からのリリースでは「グロースハックツール」という命名でこの分析運用ツールが紹介されており、スマホアプリのマネタイズのためのツールという位置付けだ。アスキークラウドの以下の記事でも分かるようにアプリ内の利益の最大化だけではなく長期的な運営のためのツールとして全面採用するgumiのような企業も現れた。
スマホゲームの炎上を防ぐ魔法のアイテム:http://ascii.jp/elem/000/000/870/870509/
今、どうしてアプリケーションのマネタイズが注目されているのか、4月1日に米国Flurry社から発表されたモバイルデバイスにおける利用動向の調査をみると一目瞭然だ。この調査では米国内のスマートフォンユーザーの動向として、Webサイトのブラウジング時間とアプリを利用している時間を2013年と2014年で比較しており、アプリの利用が80%から86%へと増加していること、86%のアプリの利用時間のうち32%がモバイルゲームに当てられていることが明らかになっている。
Apps Solidify Leadership Six Years into the Mobile Revolution:http://blog.flurry.com/bid/109749/Apps-Solidify-Leadership-Six-Years-into-the-Mobile-Revolution
スマホを使ってのWebブラウジングは14%、その中でもグーグルのブラウザは5%とこれまでWebの世界では常に「情報の価値」を牛耳ってきたグーグルにとってアプリ内で閲覧される情報や行動は追いかけることの出来ない別の次元の話になってしまっている。
WebサイトであればGoogle Analyticsなどのツールを活用してユーザーの動向を分析することも可能だが、アプリやゲームの中でそれを実現するのは困難だ。ゲームの動線やロジックとは別に分析するためのデータを取得して更にそれを継続的に分析する必要がある。ユーザーが増えればそのデータは膨大になる。データを受け取るサーバーも必要となる。
このような状況で勘だけでゲームの利用分析、運用をするのは冒険であろう。逆に正確なデータを元にキチンと運用が出来るベンダーだけがレッドオーシャン化したスマホアプリ市場で生き残ることが出来ると考えるべきだ。「既に新規獲得よりも如何にインストールしてくれたユーザーを逃さないか?が大事。スマホでアプリをダウンロードしてもつまらなければ直ぐにアンインストールされてしまう」と語るゲーム業界関係者のコメントから分かるように如何にユーザーをつなぎ止めるための施策を打てるか?が運営側の能力になっているという。
今回の5RocksのサービスはSDKをアプリケーションに組み込むことによって無料で利用出来る。登録から1ヶ月は無料であるため、まずはフリーミアムモデルのゲームをリリースして分析し、ユーザーへのキャンペーンによって有料版に誘導する、または課金アイテムへの導線に利用するなどの方法が考えられる。分析だけではなくプッシュノーティフィケーションなどの機能も用意されているため、ユーザーへの働きかけも可能であるという。
アクティブなユーザー数によって課金され、上限が設定されていることもゲームデベロッパーにとっては歓迎されるだろう。データの分析はAmazon AWSで実現されており、各種ゲームから受け取る一日に100GB を超えるデータを分析出来ることで信頼性も担保されている。注目すべきは5Rocksのポータルからリアルタイムでゲームの利用分析をできる事だろう。
これからの5Rocksの動向に注目したい。
参考サイト:http://www.5rocks.io/