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業界人の《ことば》から 第83回

Windows XPサポート終了後、業界の本当の懸念材料は何か?

2014年04月01日 09時00分更新

文● 大河原克行

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依存しているのに、軽視されがちな情報セキュリティ

 新規顧客開拓の2つめのツールは、情報セキュリティだ。

 企業においては情報漏洩に対する危機感が高まりつつあるが、神野社長は、「300人以下の中小企業においては、95%の経営者が、自社のIT管理に不安を持っているのではないか。メールなしには仕事ができないにも関わらず、それが止まったときにはサポートできる人がいない企業が多いのが実態。また、下請け企業ではセキュリティで問題が起こせば取り引きが停止してしまうという危機感がありながらも、十分な対策が講じられていない」と指摘し、「多くの中小企業において、当社のUTM(Unified Threat Management=統合脅威管理)に関する提案が響いている」とする。

Windows XPは商談を始めるのに最適なツールだった

 そして、3つめがWindows XPである。

 2014年4月9日のWindows XPのサポート終了に伴い、PCのリプレース需要が発生しているのは周知の通りだが、これが新規顧客開拓には有効なツールになっているという。

 「Windows XPをきっかけにして、新たな顧客訪問し、そこから、情報セキュリティやバックアップなどの話が始まることが多い。『Windows XPにも困っているんだが、実はこんなことにも困っているんだ』という話も出てくる」

 いわば、Windows XPは、新規顧客にドアノックするためのツールになっていたわけだ。

 神野社長は、「Windows XPのサポート終了は、PC本体の販売台数が増加することよりも、Windows XPをきっかけとして、お客様の課題について話し合うことができた点が大きかった。新規顧客開拓において、Windows XPはオールマイティなカードだった」とする。

 Windows XPは多くの企業にとって共通の課題であり、それをきっかけに新規顧客との商談が始まりやすいのは事実だろう。そして、PC本体だけの商談では利益率は低いが、PC+ソリューションの提案となれば、収益性も高めることができるのは確かだ。

 業界内では、Windows XP特需の反動が懸念されている。4月9日を境に、ぱったりと需要が止まるわけではなく、上期まではその影響は持続するものの、下期からはPCの販売台数が一気に減少するというのが業界内の見方だ。

 だが、神野社長が指摘するように、PCの販売台数の減少への影響だけでなく、ソリューション提案が減少する遠因になるであれば、業界への影響は遙かに大きくなるといえよう。


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