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石井英男の『研究室研究所』 第1回

この研究者・開発者がスゴイ!――渡辺敦志氏

筑波大の"あのポスター"のモデルは凄腕大学院生だった!

2014年04月02日 15時00分更新

文● 石井英男

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小学生の頃にプログラミングを始める

 他の人に真似のできない速度で開発を次々済ませていく渡辺さんだが、どのような少年時代を送っていたのだろうか。また、ロボットの道に進むきっかけは? そのあたりを訊いてみた。

―― 渡辺さんはどうしてこの研究室に入ろうと思ったのですか? また、ロボットの道に進もうと思ったきっかけは何でしょう?

研究室の初期に使われていた移動ロボットも保管されている

渡辺 「じつは、そんなにロボットがやりたいというわけではなかったんです。元はたぶん小さい頃、親がゲーム機を買う代わりに『ゲームがやりたかったら自分で作れ』とPC-8801を与えてもらったり、『工作はこれでやれ』と、兄と私にナイフを1本ずつ渡されたりして育ったのが、ものづくりが好きになった理由だと思います」

―― では、プログラミングはかなり小さな頃から?

渡辺 「小学生からやってました」

―― 私も小中学生の頃はBASICでゲーム作って、ベーマガとかに投稿したこともあります(笑)。今は全然プログラムは組めませんが。

渡辺 「あっ、ベーマガは読んでましたね!」

―― ロボットってよく“総合技術”と言われますよね。ソフトだけでもハードだけでもダメだし、メカもあって電気もあって、センサー技術とか、すべての集大成です。だから、一人でロボットを作り上げるには、ジェネラリスト的な素養も求められると思うのですが。

渡辺さん「小さい頃から、知らず知らずのうちにものづくりを覚えていき、気がついたらロボットを……という感じですね」

渡辺 「そうですね。私は最初、PC-8801のBASICから始めたのですが、なぜか、興味がどんどん低水準言語側に寄っていって、C++、C、アセンブラをやって、最後は電子回路までたどり着きました。回路をやって、機械も遊びでやってと続けていたら、いつの間にかロボットをやるべき人間になったのかなあという気がしますね。

 それから、この大学では、授業としてロボコンがあるんですよ。つくばロボコンという授業で、2学期フルにあって他の時間も食いつぶすんだけど、1単位しかもらえないというやつなんですけども(笑)。

 それをずっとやっていてロボット側に流れてきたという感じです。私自身はもともと大学の専攻としては情報工学なんですが、ロボコンに参加するようになって、ロボット側にシフトしてきたと」

―― 大学の授業としてロボコンをやっているというのは面白いですね。

渡辺 「はい、これも(研究室を興した)油田先生が最初に始めたことでして。学生って、数学とか理論寄りの機械工学をやっても全然面白くないので、敬遠しがちなので、『実際にはこういうことに使えるんだよ』と、使う目的を分からせようということで始めたらしいです。それにまんまとハマった感じですね」

―― そうすると、今やってることはまさに天職といった感じでしょうか。

渡辺 「そうですね。本当にものづくりがずっと好きで、それがロボット側に寄ってきたというところです」

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