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テクノロジー虎の穴 第1回

KEKのじっくりねっとりフォトお蔵出し

テクノロジーは「なんかわからんけどカッコいい」から始めよう!

2014年03月26日 19時00分更新

文● 林 佑樹

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スゲーから入ってもいいじゃない

 さて、ここからは写真中心でお送りしていく。上記しているように「宇宙すげぇ!」「深海すげぇ!」とノリは変わらず、「ハードウェアすげぇ!」だ。初めて見るスマホに「おう、すごそう」と感じたハートで見てもらえれば幸いだ。なおKEKはときおり一般公開を行なっている。例年であれば、9月周辺なので興味のある人はKEKのサイトをチェックしてもらいたい。

よく編集氏に「どこがいいんですか」と聞かれるので、まずはそこから触れよう。写真はNECトーキン製の電磁石だ。加速器の大半は電磁石で構成されており、チェンバー内を走るビームを収束させたり、発散させたりしながら、制御している。凹凸レンズがいっぱいあるとイメージするとわかりやすいだろう。といった説明以前に、作りがとてもキュートなのだ

電磁石は場所によってデザインが異なっている。製造年代によっても異なっているようで、基本的にカワイイ

電磁石は四極だけでなく、六極もある

ごつい電磁石もあれば、ミニマムな電磁石も

ここまで見てみると、高い技術で人間くさくない場所と思うかもしれないが、実際には泥くさい部分が多い。上記写真ではタグ付けはアナログだ

KEKBに多数あったコイルは、後付けで、こうしたほうが精度が上昇するため、手巻きされたそうだ

放射光施設の機器などはアルミホイルが巻かれているところが多かった

何度もKEKを取材している中で、もっとも印象深いものがこれだ

特定の部分だけ冷却すると性能がアップするケースが多いようで、写真のようにレトロな扇風機が設置されていたり、自作PCファンの間では色んな意味で知名度の高い山洋電気製F12-HHHとの遭遇率も高い

紹介してきた数々のパーツの集合体が加速器で、淡々と並んでいるところはとてもかっこいい

筆者お気に入りはATF。現在、誘致先として日本も名乗りをあげているILCの加速リングを小さくしたような施設で、加速器施設自体の小型化のノウハウも得ており、大学や癌治療用の加速器への転用も行われてるそうだ。KEKBは周長3kmだが、実際に見ると全体像がわかりにくいため、まずはATFで全体像を把握してから、KEKBを見ると頭に入ってきやすいだろう

これもATF。部分部分で構成要素が異なるところも要チェック

旧KEK12GeV陽子シンクロトロンの前段加速器(コッククロフト・ウォルトン型高電圧加速器)は、なぜこんな手塚治虫的なデザインになったのかと気になるが、かっこいいのでオススメ

陽子リニアック。陽子を加速させる根っこで、いわゆるビーム・ライフル、プロトンライフル。でも、いまはリタイアしているらしい

ベル測定器。改修中のもの

ベル測定器内部(たぶんレアカットと思われる)

稼働時は先の空洞内部に検出機器などが設置されていた

いまのところ1度しか入れていないPSブースター付近の通路。放射化した空気が外部に出ないようにするため、クランクが幾重にも用意されていた

テクノロジーは意外と身近

 よくわからないことにぶつかると、解釈しやすいほうに理解したと判断してしまいやすいのが人間だが、先端科学は意外と身近なところを研究していることも多い。

 今回紹介したKEKの場合、電子ビームと陽電子ビームをぶつけてなにをしているのか、正直なところ一発でわかる人は少ないと思う。だが、なんかかっこいいなぁくらいのレベルから、ちょっとずつ見てみたり、見学に行ってみたりすると、おぼろげながら研究内容が見えてくるハズだ。そろそろSuperKEKBへの改修が終わるころなので、またASCII.jpでお送りしたいと思う。


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