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メリット・デメリット、運用のポイントまでガッツリ解説

魅力は抜け目のなさ? NTTPCがアイシロンを選んだ理由

2014年05月07日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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速度、冗長性、サービス継続性を徹底検証したら?

 NTTPCコミュニケーションズは、実際のEMCアイシロンでテスト環境を構築し、性能や機能面を検証したが、十分な結果が得られたという。たとえば、冗長性に関しては、オプションソフトの「SnapshotIQ」と「SmartConnect」を用いることで、最大で7つの重複データとして保存できるほか、領域無制限のスナップショットが可能。ノードやディスク障害においても保全性を確保しており、データ保護レベルは高い。さらに、サービス継続性に関しては、特にEMCアイシロンの強みになる部分で、設置と配線を済ませたら、約1分で設定完了。中冨氏は「クラスターに組み込むだけだったら、実質30秒弱のお仕事。ボタンを押すだけ」と述べ、高く評価した。

拡張作業はきわめて容易

 機能面では、中冨氏は「SmartQuotas」で提供されているクォータ機能に言及した。ボリュームの利用制限をかけるクォータだが、SmartQuotasではディレクトリ単位で設定できるので、サービスを利用するユーザーごとに利用制限がかけられる。「xfsでも同じ機能はあるが、CIFSに使えるのがうれしい」(中冨氏)。その他、物理サイズよりも大きなクォータ設定が可能なVirtual Quotasというシンプロビジョニング機能がある。割り当てたサイズを即座にフルで利用することはまれなので、事業者にとってはきわめて有効。実データの使用量が物理クラスターの60%程度まで来た段階で、ノード追加を実施できるという。

 速度、冗長性、サービス継続性、そしてクォータという4つの検証で、好成績を収めたことで、最終的にNTTPCコミュニケーションズでは、EMCアイシロンの導入に至った。導入はベンダーに任せたが、物理的な設置と設定で半日程度、OneFSクラスターの初期設定だけで2時間程度ときわめて短く済んだという。

2年使った影響は?今後の計画は?

 現在、導入して約2年経つが、起動用のSSDが1台故障しただけで、その他の故障は一切なし。そのSSDの故障時も自動的に縮退運転となり、交換後もすぐに自動構成されたため、サービスへの影響はまったくなかったという。中冨氏は、さらに2年間の運用で得られた教訓や実践テクニックも披露した。

基本的なサービスでの使用例

 最後、中冨氏はベンダー側に対して、いくつか新機能や拡張を提案した。まずVMware以外のAPIやマルチテナントでの複数認証だが、これらは最新のOneFS 7.1で対応したという。また、InfiniBandに対する不満もある。現状のEMCアイシロンでは20GbpsのDDRを採用しているが、そろそろ56GbpsのInfiniBand FDRに対応して欲しいというのが1つ。「ケーブルが太くて取り回しづらい。InfiniBandのケーブル収納だけで、1U分消費してしまう。」とのことで、光ファイバケーブルという選択肢も必要だという。さらに、通信事業者としては、OSのメジャーバージョンアップ時のデータ・設定の担保は欲しいという。

 今後の構想としては、アーカイブ用途のNLシリーズを導入し、Mail Luck!で使っているX400シリーズをクラスター化。Mail Luck!のIMAP領域のうち、利用頻度の低いデータをNLシリーズに移していく自動階層化を進めていくという。一方、ストレージサービスで使っているX200シリーズでは、NLシリーズの空き容量にレプリカを作成していくことを検討している。

今後の構想ではMailLuck!と共用クラスター化

 今回のEMCアイシロンのセミナーの一部は、以下のバーチャルイベントで視聴できる。セミナーで行なわれた実機デモや監視カメラソリューションの紹介、海外のユニークな事例など、ぜひチェックしてもらいたい。

講演が動画でチェックできるEMC Isilon Virtual Event開催中!

 

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