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メリット・デメリット、運用のポイントまでガッツリ解説

魅力は抜け目のなさ? NTTPCがアイシロンを選んだ理由

2014年05月07日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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3月7日に開催されたEMCジャパンによる「国内外の先進ユーザーに学ぶ、多様化するXaaSの裏側とは?」というセミナー。後半では、NTTPCコミュニケーションズがアイシロンを導入した背景と運用のポイントなどを解説した。

魅力はスケールアウトよりバランスのよさ?

 NTTPCコミュニケーションズの講演の前半では、データセンター事業部 エンタープライズサービス部 副島剛氏がクラウド型メールサービス「Mail Luck!」での採用について講演した。

NTTPCコミュニケーションズ データセンター事業部 エンタープライズサービス部 副島剛氏

 2003年にサービスを開始したクラウド型メールサービスのMail Luck!はサービス開始から10年を経て、約200社、30万IDの導入実績を誇る。企業向けサービスと言うことで、監査対応、添付ファイル誤送信防止、VPN接続などのセキュリティ機能の他、99.9%の稼働率と故障連絡時間30分以内というSLA(Service Level Agreement)を示しているという。

 そんなMail Luck!の最近直面している課題は多岐に渡る。まず顧客としては、「いつでもどこでも同じ状態でメールを利用したい」「クライアントの故障、入れ替えの時にも以前のメールがほしい」「なにかあったときに備えて全メールを保存したい」というニーズが顕在化している。また、市場のニーズとしては、GoogleやMicrosoftの参入でメールボックスが大容量化したほか、スマートデバイスが爆発的に普及したという変化がある。この結果として、メールをサーバー上に置く保管型利用が急速に拡大し、大容量メールボックス、IMAP使用時の性能、メールアーカイブの対応、サービス停止時間の短縮などが求められるようになった。この結果、ストレージの重要が高まり、2012年度後半からストレージのリプレースを検討してきたという。

MailLuck!が直面している課題

 こうしたストレージの選定で重視したポイントは、「保守費用も含めたGB単価」「故障しても止まらず、最小投資で将来の増設が容易」「既存のストレージからのスムーズな移行」などだった。こうした要件で各社の製品を比較したときに、最終的に残ったのがEMCアイシロンの「Isilon X400」だったという。

 なぜEMCアイシロンを選んだか? 副島氏は「正直、他社で価格は安いところがあった。しかし、EMCアイシロンはすべてのポイントにおいて、バランスよく対応していた。どれ1つ抜け目がないことはメールサービスにおいては重要」と語った。

ストレージ選定におけるポイント

 既存のNAS製品からのメールボックスの移行には、OneFSに実装された「isi_vol_copy」というコマンドを使用したという。移行ツールとしては、ほかにもRsyncやRobocopyなどがあるが、特定のプラットフォームに対応していなかったり、パフォーマンスが出なかったりといった問題があったため、最終的に「isi_vol_copy」を選定したという。とはいえ、isi_vol_copyでも移行元の既存のNAS製品において、いったんスナップショットをとるため、CPU使用率が上がり、小さい容量でもコピーに時間がかかった。既存の機種の処理性能も考えて、移行計画を練る必要があるという。

顧客のニーズに応えたストレージサービスを目指す

 また、NTTPCコミュニケーションズの講演の後半では、ホスティングサービス部の中冨勝利氏がEMCアイシロンのストレージサービスでの導入・運用ノウハウを披露した。

NTTPCコミュニケーションズ データセンター事業部 ホスティングサービス部 中冨勝利氏

 中冨氏がEMCアイシロンに関わるようになった発端は、数年前とあるハウジングのユーザーから「データセンターサービスとしてストレージはないの?」という一言だったという。従来から展開しているハウジングで、ストレージを増設・交換する場合、ベンダーのアサインが必要になり、担当者はベンダーとデータセンターまで同伴する必要がある。当然ながら、最終的にサインを得るまでは帰ることもままならず、マイグレーションでリビルド作業が発生すると、その時間をまるまる取られることになる。こうした時間の浪費に加え、台数が増えると資産計上も手間となり、単純にストレージを増設するだけではあまりメリットがない。こうした現状を踏まえ、中冨氏は「ユーザーは物理容量が欲しいだけで、機器の台数が欲しいわけではない。運用コストの安いサービスが必要だった」と指摘する。

 一方、自社を振り返ってみれば、サービスごとにメーカーや規模が違うモノが導入されていた。「もちろん、サービス規模に応じた製品は使用されているが、すでに古いサービスであるため、集積可能なものもあった。バックアップもサービスごとにとっており、二重三重に投資がかかっていた」(中冨氏)。特にスタートアップサービスにおいては投資が肥大化し、非効率な原価アップが起こっていたという。

各サービスごとに違うメーカー、違うストレージ

 こうした中、複数のストレージの中から選択したのが、EMCアイシロンだった。基本要件として、「超高速は求めないが、そこそこの速度」「RAIDのリビルドで速度低下が起こらない」などの性能面のほか、「2倍以上の書き込みによるデータ保全性」「最悪2ノードまで縮退しても動作可能」などの冗長性、さらに「マイグレーションによるサービス断なし」「ノードやディスク障害からの復旧、ノード追加時の再配置処理でサービスへのインパクトを回避」などのサービス継続性を挙げた。

(次ページ、速度、冗長性、サービス継続性を徹底検証したら?)


 

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