手軽な使い勝手か、リアルな後方の音を取るかが決め手
ソニーのHT-ST7とヤマハのRX-V377を聴き比べた結果だが、ステレオ再生で音楽を聴いた印象としては好みの差こそあれ音質的にはほぼ同等と感じた。
ソニーは音像の厚みや骨格のしっかりとしたパワフルさが印象的で、ヤマハはより繊細て丁寧な描写が印象的になる。
ヤマハが弱々しいというわけではなく、低音の力感などは十分なのだが、それだけに中高域の美しさが際立つという感じ。ソニーが男声ボーカルを魅力たっぷりに鳴らすとすれば、ヤマハは女性ボーカルがたまらなく美しいという傾向だ。
サラウンド再生では、空間のつながりや包まれる感じはどちらも同等。後方の音の実在感や真後ろの音の明瞭さなどでヤマハが優位になるが、これはリアル5.1chならではのメリットだろう。
結論を言えば、やはり後方スピーカーを置けない、たくさんのスピーカーを置くのは嫌だという人ならば、ソニーのHT-ST7。5.1ch再生の面白さを重視するならばヤマハのRX-V377とスピーカーシステムになる。
読者の予想通りの結果ではあるのだが、実はソニーが驚くほど健闘した。一般的なサウンドバーの多くはサラウンド感はともかく、肝心の音質の点で、きちんとしたスピーカーをAVアンプで駆動するシステムに及ばないことが多く、さすがにHT-ST7も不利かと感じていたが、音質的にほとんど差を感じなかったのはさすがは高価格な上級モデルだと思う。
また、価格的にはヤマハの方が安価なので予算が優先の人にもヤマハをオススメしたい。スピーカーが独立したリアル5.1chの場合、広い範囲で適切なサラウンド効果が得られやすいので、広いスペースで家族みんなで楽しみたいという人にとっても有利。
リアスピーカーの問題は悩ましいところだが、壁掛け設置などを有効に活用したり、スピーカーケーブルを部屋の隅に引き回すようにするなど、工夫次第でなんとかなる。(奥様の説得も含めて)こうした細かな努力を数多く求められるが、そのぶん多彩なサラウンドモードの選択など楽しみの幅が広いというのもAVアンプによるシステムの魅力だ。
いずれにしても、映画などを本格的に楽しむならば、こうしたサラウンドシステムはぜひとも検討したいアイテム。
どちらも4K映像のパススルーに対応しているので、4Kテレビをお持ちの人ならばまさに必須と言っていい。生活空間や好みにあわせてぜひとも、自分だけのホームシアターを実現してほしい。
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