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多くのミュージシャンが愛した「VCS3」を模したアプリの魅力

変態アプリ「iVCS3」はシンセの本質を突いている

2014年03月18日 19時00分更新

文● 四本淑三

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ルーティング・マトリクスとは何ぞや

 その理由は「ルーティング・マトリクス」と呼ばれるパッチボードにあることは間違いありません。これを見て「電子ブロックっぽい」と思った人はまず正解。「チェスでもするの?」と思った方もいいセンスです。

画面左の四角い部分がルーティング・マトリクス

 空いた穴にピンを差して行くわけですが、実際、どこにでも差せば何か鳴ってくれるというものでもなく、ちゃんと一定のルールがあります。それを覚えるとピンを抜き差しする、ただそれだけで楽しくなってしまうヘンタイになれます。あなたはヘンタイになりたいですか? なりたい人だけこの先にお進み下さい。

 この時代の王道シンセと言えば、moogやらARPやらBuchlaといったアメリカの巨大製品が主力でしたが、EMSはそのニッチな立ち位置を示すかのごとく、パッチングが可能なセミモジュラー構成でありながら、やたらと小さかった。

 そのコンパクトさと自由度を支えたのが、このルーティング・マトリクスなわけです。基本的な理屈は簡単。次に簡単な例を示しますので、まずリセットして設定をデフォルトに戻して下さい。もうあなたがアプリを買われた前提になっていますので、まだならお早めに。

デフォルトに戻す方法1: 画面右下のレンチマークで設定画面を呼び出します

デフォルトに戻す方法2: このメニューから[Defaults]を選び、次に表示されるダイアログで[YES]を選びます

試しにパッチングしてみる

 アプリのルーティング・マトリクスは画面をタップすると拡大できます。Y軸左側の各要素に「▶」マークが、X軸上側には「▲」マークが付いています。信号はこの向きで流れますが、しかし[▲]で示される上ってどこなんでしょう。それは続きを読めばわかります。

 では[Oscillator 1]のノコギリ波を[Filter]に入れてみましょう。このマトリクスにはX軸にアルファベット、Y軸に数字が振ってありますので、その番地で言うところの[2H]にピンを差します。

[2H]にピンを差した状態。これでノコギリ波がフィルターに入りました

 で、このフィルターのかかったノコギリ波の出力はどこから取り出せるのかといえば、Y軸の[Filter]に戻ってくるんですね。[10]の列が全部フィルターの出力です。これをそのまま音として取り出すなら、[Output Ch.]の1か2、どちらかに入れればいいわけです。

フィルターのかかったノコギリ波を[Output Ch.] 1から取り出すべく、[B10]にピンを差した状態

 iVCS3はステレオ仕様なので、1と2のどちらか片側、あるいは両方に入れてもOK。定位を変える必要があるなら、ルーティング・マトリクスの右横にある[Output Ch.1]、あるいは[Output Ch.2]の[PAN(EXT.)]ノブで設定できます。

 音が出たら[Filter/Oscillator]のツマミをいじって遊びましょう。ちなみにこのフィルタ、[Response]をフルアップすると自己発振するので[Filter/Oscillator]という名前になっている模様です。

 詳しい操作は、このサイトからホンモノのVCS3のマニュアルをダウンロードして御覧ください。ルーティング・マトリクスの図説は7ページに掲載されています。

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