ノイズキャンセル技術はデジタルだけでなく
アナログな部分の進化で支えられている
現在、筆者はBOSEのQuiet Comfort 2にはじまり、発売時には画期的なノイズキャンセル能力で話題になったソニーの「NC300D」、そして低価格なパイオニアの「SE-NC31C」など、いまだに数台近くを持っている。しかし、最近は、長時間の飛行機や新幹線に乗る時以外はほぼ100%使っていない。
理由はいろいろあるが、すでに時代的にも古くなった機種が多く、ノイズキャンセル機能の問題ではなくオーディオ再生能力の問題であったりもする。また、昨今のハイエンドカナル型イヤフォンのイヤーピースの進化やカスタマイズによる遮音性の向上なども少なからず影響しているだろう。
電子技術をまったく使っていない単なるアナログ耳せんの機能も、昨今はその素材の開発、改良で著しい向上が感じられる。
ノイズキャンセルイヤフォンは最新のデジタルテクノロジーだけではなく、イヤーピースの形状やデザイン、素材の選択のなどによるノイズリダクション効果も含めた総合力の競争商品のようだ。
弱点は断続的なノイズや突発的な音
さて、多くの人はどんなシチュエーションで耳せんを欲しくなるのだろうか? 筆者個人として何とかしたいのは、新幹線の中で至近距離に陣取ったオバちゃんの団体(盛り上がり過ぎた会話)や、ご幼少の坊やの奇声などだ。しかし、残念ながらデジタル耳せんは、こういう非定型で断続的な音や突発的な発声には極めて非力だ。
断続的な音や突発的な発声に対してノイズキャンセリング技術がまったく役立たないのは、デジタル耳せんをしていても機内や車内のアナウンスや誰かの呼びかけなどは、普通に聞こえるというメリットの裏返しだ。あまりりうれしくはないが、いつどこで災害に遭遇するかわからない昨今ならば喜ぶべきことなのかもしれない。
デジタル耳せんが一般的にプロテクトしてくれるのは、ノイズキャンセルイヤフォンとまったく同じ“連続的”に発生する航空機のエンジン音や、電車の走行音、エアコンのファンノイズなど、一般的環境騒音だ。
確かにこれらの環境騒音は極めて耳障りな時もあるが、個人差もあり、そういう環境下で音楽を聴いたりムービーを観たりすることで対処しない、あるいは対処できない環境にいる人に向いている。
知人の1人は、企業のサーバールームで働いている人にピッタリだと言っていたが、確かにデジタル耳せんの想定ユーザーの一例にはなるだろう。
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