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「低価格端末」や「WS仮想化」など、次なる戦略をプレスイベントで披露

ワークステーションも“変革”!逆襲するデルの目論見

2014年03月20日 06時00分更新

文● 末岡洋子

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次なるターゲットは「低価格化」と「仮想化」

 シェア拡大のため、高性能化と並行してデルが進めるのが「低価格化」だ。会期中に発表された新しいノート型ワークステーション「Precision M2800」は、15インチのノート型で「Intel Core i5/i7」と「AMD FirePro W4170M GPU」を搭載し、メモリは最大16GB、ストレージは最大1TB、画面解像度はHD/フルHDといったスペックを持つ。

低価格モバイルワークステーションとして発表されたPrecision M2800。Core i5/i7とAMD GPUを搭載、メモリは最大16GB

 このM2800の価格は1199ドルから。従来機種比で大幅に安価な製品を投入した背景には、ワークステーション利用者の裾野を広げるという同社の戦略がある。

 「学生、あるは新興国の企業など、予算的な制約でワークステーションを購入できない層がある。より多くの顧客が購入できる価格で提供することで、顧客の中でのワークステーションの位置づけを変えていく必要がある」(カンナー氏)

 ワークステーション分野は「仮想化」がトレンドになりつつある。「顧客と話していると大体9割の確率でその話になる」(ローズ氏)というワークステーション仮想化についても、デルは本格的に乗り出す姿勢を示した。同イベントでは、ワークステーション仮想化のリファレンスアーキテクチャとなる「Dell Wyse Datacenter for Virtual Workstations」や、NVIDIAとの共同検証センターである「Workstatioin Virtualization Center of Excellence(CoE)」の開設が発表された。

テキサス州オースティンにあるDellのソリューションセンター。「Workstatioin Virtualization Center of Excellence(CoE)」はこの中にある

 ワークステーション仮想化のメリットの1つが“セキュリティ”だ。ローズ氏は、「大切な次期製品のデザインデータをスタッフの端末内に抱えておくよりも、データセンターで保管したほうが安全だ」と指摘する。

 一般的なPCユーザーと同様に、ワークステーションユーザーにもさまざまな端末、さまざまな場所からデスクトップにアクセスしたいというニーズがある。デルではWyseのシンクライアント技術とデータセンター側のVDI技術、ノウハウを活用して、そのトレンドに乗じようとしている。

アカデミー賞映画「ゼロ・グラビティ」を支えたデル

フレームストアのCTO、スティーブ・マクファーソン氏

 イベントにはアドビシステムズ、オートデスクなどさまざまなISVや顧客が参加した。そのうちの1社がフレームストア(Framestore)だ。

 ――と紹介しても、その社名にピンとくる人はほとんどいないだろう。実は、同社はアカデミー賞の視覚効果賞など7部門を受賞した映画「Gravity(邦題:ゼロ・グラビティ)」のVFX(視覚効果)を担当したCGスタジオである。つまり、ゼロ・グラビティのCGはデルのワークステーションから生まれたわけだ。

 フレームストアのCTO、スティーブ・マクファーソン(Steve Macpherson)氏は、4年間でのべ400人が制作に携わる大がかりなプロジェクトで、「作業が難航して会社がつぶれてしまうかもしれないと思った」と振り返る。同作品を制作している間は、絶えず技術的な課題や障害にぶつかり、悩まされた。たとえば同作品ではロングショット(遠景)が多用されており、オープニング映像の約22秒を作るだけで、同社のストレージが一杯になったという。全シーンのうち80%程度がアニメーションとCGで作られており、シュミレーションも多く用いられた。

 制作当初、デルはフレームストアのパートナーの1社に過ぎなかったが、最終的にはキー・パートナーになった。その理由は「サポート」と「耐久性のあるコモディティ機器」にある、とマクファーソン氏は語る。

 「デル(のサポート)が他社と決定的に違ったのは、“ダイレクト”だった点。問題が起きたときや何か相談したいときなどに、1つの窓口から関係する人を紹介してもらうことができた。これが他社ならば、リセラーやディストリビューターなど幾つかのステップを経ることになっただろう」(マクファーソン氏)

 マクファーソン氏はまた、「われわれの仕事は、最高レベルの技術をもったスマートな人を雇い、持てる能力を最大限発揮してもらうこと。それを予算通りに実現する必要がある」と述べ、コスト面での優秀さも評価した。

 ちなみにマクファーソン氏は、ワークステーション仮想化については「興味深い」と感じているという。ただし、レンダリングなどさまざまな処理のクラウド化については、「一部のプロダクションには検討したいが、レンダリング作業などはオンプレミスで自分たちで構築してしまったほうがコスト的に安い」と見ているという。こうした用途で商用クラウドが価格、技術ともに成熟するまでには、もう少し時間がかかると考えているようだ。

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