1989年にワールド・ワイド・ウェブが産声を上げてから25年──。3月13日、ウェブ生誕25周年を祝うイベント「第46回HTML5とか勉強会『Webの過去、現在、そして未来』」が開催された。
本イベントはウェブクリエイターやエンジニアの非営利コミュニティー「html5j」と、ウェブ技術の標準化を進める非営利団体「W3C」が共同で開催。
登壇者も「日本のインターネットの父」こと慶應義塾大学環境情報学部長の村井 純教授に、NTTドコモの「iモード」を立ち上げたドワンゴの夏野 剛取締役など、豪華な顔ぶれだ。
イベントではウェブの25年を振り返りつつ、未来への展望が語られた。村井教授はインテルが開発したSDカードサイズの省電力チップ「エジソン」を例に挙げ、「(近い将来)コンピューター機器はタダになる」と大胆な予測を発表した。
「昔のスーパーコンピューターがSDカードサイズに入る時代。ここで考えるべきなのは、デジタル技術は安くなるということ。(安くなれば)地球の80億人がみなネットでつながり、80億人分のデータを集約できる。これは、どういうことになるか予想できない。さらにセンサーやデバイスもとなると、ワケがわからない」(村井教授)
機器が無料になり、それらが全てデータをはき出す。ネット上の無限のデータが世界中でシェアされる時代が「アフターインターネット」の世界だと村井教授は示した。
一方、夏野取締役は士郎正宗のサイバーパンク・コミック「攻殻機動隊」を引き合いに出しつつ、「あの作品が未来を予測している」と指摘。
「(現在ネットは、スマホなどのかたちで手元まで)LTE回線で来ていて、その先は視覚や触覚、音声になっている。その『ラスト・ワン・フィート』が解決される。脳に電気信号で直結データを遅れるようになれば、視覚データに最適化されているHTMLも変わる。そのための方式を考えておくべき」(夏野取締役)
奇しくも「攻殻機動隊」もウェブと同じく、今年25周年を迎える。まだ現実は作品の世界に到達していないが、その差が埋まる日は近いのかもしれない。