ハードウェアメーカーとしての大きなミス
だが、Surfaceへの取り組みがすべて順風満帆だったわけではない。
そこには、ソフトウェアメーカーだったマイクロソフトが、ハードウェアメーカーとして初めて経験する大きな壁がいくつもあった。
なかでも最大のつまづきは、2013年4〜6月期決算で、Surface RTの在庫調整のための費用として、9億ドルを計上したことだ。ハードウェアメーカーとして、生産量の予測と在庫管理は重要なポイント。ここでは残念ながら、ハードメーカーとしては失格という状況であったといえよう。
そしてこの厳しい経験が、第2世代のSurfaceではさらに裏目に出た。
同社ではSurfaceの生産数量を明らかにしていないが、第1世代よりも第2世代の生産量を大幅に絞り込んだのは当然のことだっただろう。だが、第2世代では、Windows 8.1へと移行し、Outlook 2013がデスクトップ環境で利用できるようになったことから、Surface 2の人気が高まり、第1世代を上回る売れ行きをみせ、全世界で品薄を引き起こすという状態になった。これも、ハードメーカーとして同社が味わった厳しい経験だ。
量販店向けの一部製品を出荷停止、
法人向け販売ルートでも取り扱い機種を限定
ソフトウェアのようにすぐに追加生産がきかないハードウェアの場合、品不足は販売機会の損失に直結する。
実際、日本でも2013年12月から量販店向けの一部製品の出荷停止措置を開始。その後も受注停止対象の機種を増やしている。また、2014年1月には法人向け販売ルートでも取り扱い機種を限定するという措置に打って出た。現在でも、量販店向けには5モデル中2モデルが受注停止、法人向けモデルでは4モデル中2モデルが受注停止となっいる。
日本ではWindows XPのサポート終了に伴う買い換え需要、消費増税前の駆け込み需要という大きな波が訪れている中で、製品供給が不安定なままで需要期を迎えなくてはならないという状態に陥っている。
「製品があれば、もっと売れる」
「製品があれば、もっと売れる」というのは、まさに本音だろう。
本来ならば、国内発売1年を記念したキャンペーンが行なわれるところだろうが、現在、Surfaceは品薄状態が続いている。そのため、新たなキャンペーンなどが行なわれることはなさそうだ。
その点は極めて残念だといわざるを得ない。
マイクロソフト初の自社ブランドタブレット、Surface日本発売1年目の記念日は、何事もなく静かに過ぎていく。
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