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ブラックダック、OSS管理の鍵はロジスティクスの発想。

2014年03月13日 05時14分更新

文● 松下 康之/アスキークラウド

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 2014年3月12日に青山で開かれたブラック・ダック・ソフトウェア株式会社(以下、ブラックダック)の記者会見で新CEOに就任したルー・シップリー氏は「エンタープライズで導入が進んでいるオープンソースソフトウェア(OSS)に関して、ブラックダックはロジスティクスの発想で管理を容易にする戦略だ」と発表した。

新CEOのルー・シップリー氏とブラック・ダック・ソフトウェア株式会社代表取締役 金承顕氏。

新CEOのルー・シップリー氏とブラック・ダック・ソフトウェア株式会社代表取締役 金承顕氏。

 今回は新たにCEOに就任したシップリー氏は、米国の金融機関ではOSSの導入が進んでおり、商用ソフトウェアに較べて利用者側に選択の自由と責任が発生するOSSを如何に管理するのかが大きな課題となっていると述べた。またエンタープライズでの導入だけではなく車載コンピュータやスマートテレビ、スマートフォンなどの組み込みの需要が拡大しており、既に様々なOSSのコンポーネントを管理するのが困難になってきている現状を解説した。

 その際に、ソフトウェア開発に係る様々なプレイヤーつまりオープンソースコミュニティ、社内のデベロッパー、社外のデベロッパー、商用ソフトウェアのデベロッパー、エンドユーザーなどが複雑なエコシステムの上に共存しているとし、その上でOSSの進化のスピードが速いこと、コンポーネントの依存関係、ライセンスの多様性などによりソフトウェアコードをサプライチェーンの発想で管理する必要があることを強調した。

 それを「OSSロジスティクス」とブラックダックは定義し、ソフトウェアコードの発見、管理、最適化などを一元的に行うソリューションを提案する戦略だ。

 シップリー氏はインタビューに「例えば、アマゾンで本を買うとしよう。単純に買うボタンを押しているだけで本が届くことになる。だがその裏には商品のピッキング、包装、配達などのロジスティクスが動いている。OSSもエンタープライズのソリューションとして組み込まれていく段階で『適切なソースコードを発見し、開発とテストを行い、導入する』という様にロジスティクスの発想で管理を行うことが自動化に向けた方法論として最適であると我々は考えている」と述べた。

 OSSには利用者側の管理責任が発生するが、大企業にとって脆弱性などのセキュリティの脅威を常に意識して管理しなければいけないが、それに対してのソリューションは?との質問には「我々はグローバルな脆弱性データベースなどを活用して常に監視を行っている。セキュリティベンダーとも協調してOSSの品質を可視化する努力をしている」と語った。

新CEOとして今年の目標は?「ブラックダックは順調に成長しており、そのための積極的な投資、つまりセールスやマーケティングなどの人材への投資は行うつもりだ。そのことを日本の代表とも話をしている」とシップリー氏が語り、日本の代表取締役、金氏は「今は4名の社員ですが、今でも国内のパートナーと協業して販売を拡げています」と述べた。

今の日本の組織ではバスケットボールのチームも作れないが、来年の今頃には野球のチームが作れるぐらいに人員を増やすのですね?と問いかけると「確かにね、そうなるといいね」と笑いながらシップリー氏は語った。

エンタープライズやスマートテレビ、スマートフォンでも導入が進むOSSだが、選択肢が増えるにつれて複雑さや管理の難しさが露出しているのが現状だ。商用ソフトウェアに慣れた日本の大企業でも受け身ではない戦略的なOSS管理が必要な段階に来ていると言えよう。

参考記事:昨年10月に行ったマーケティング責任者フィル・グラノフ氏へのインタビューhttp://ascii.jp/elem/000/000/837/837406/

ブラック・ダック・ソフトウェア株式会社:http://www.blackducksoftware.jp/

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