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スマホで始める「音楽アプリ部」 第36回

コンパクトな筺体にワイヤレス接続で超便利

ギターアンプシミュレーターアプリを実戦向けにする「iRig BlueBoard」とは?

2014年03月09日 12時00分更新

文● 藤村亮

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無駄のないモードで使うモードと自由にアレンジするモード

iRig BlueBoardアプリはAmpliTubeと同系の木製パネルが雰囲気を盛り上げてくれます

 アプリを立ち上げた初期状態ではMIDIプログラムチェンジモードが選択されています。MIDIプログラムチェンジモードは、主に1~128までの音色パッチを切り替えるのに使うモード。4つのペダルが順に1~4番パッチとなり、以降5~8、9~12というように4つずつ、全32バンクに振り分けられていきます。

 バンクの切り替えは画面上のUP/DOWNでとなります。また、ペダル側のAを約3秒ほど長押しすることでバンクをひとつアップ、Bを長押しすることでバンクをひとつダウンさせることも可能。C、Dにはバンクの切り替え機能がないので、使うときに注意してください。

 ほかのアプリと連携しているときは、基本的に連携中のアプリを画面に表示していることが多いと思います。なので、ペダル側からのコントロールを前提に、音色パッチを整理しておくといいでしょう。たとえばAmplitubeだと「FAVORITES」に登録されたパッチを切り替えることができ、FAVORITESの01がペダルのA1に当たります。

シンプルに音色パッチの切り替えをする際には、無駄のないプログラムチェンジモードを使います

 画面の左右にあるEXT 1(初期設定はCC001)とEXT 2(初期設定はCC021)は、筺体に接続した外部MIDIペダルを使用するときに、どういった効果をコントロールするか設定します。具体的には、接続したペダルをボリュームペダルのように使ったり、ワウペダルのように使ったり、はたまた音程を飛ばすベンド効果を与えたり。エフェクターのかかりの深さを変えたりもできます。

 MIDIコントロールチェンジモードへは、画面右上のMENU→Settingで切り替えます。

より細かい部分で自由度の高いコントロールを求める際には、コントロールチェンジモードがいいでしょう

 MIDIコントロールチェンジモードは、A~Dの4つのペダルそれぞれにCC000~128のMIDIコントロールナンバーを自由に割り当ててコントロールすることが可能。たとえば、AmpliTubeでは画面上部のエフェクターのオン/オフを切り替えたり、画面下部のアンプのEQツマミを設定して全閉/全開の切り替えができます。

 同一のコントロールナンバーに複数機能のコントロールを設定することも可能です。CC001に複数のエフェクターのオン/オフ切り替え機能を持たせたり、CC002にアンプのツマミすべてを全閉/全開に、という設定もOK。CC003に複数のエフェクトのかかり方をコントロールさせ、CC004で前に挙げたすべての効果をいじることもできます。

 MIDIコントロールチェンジモードも、A~Dまでの4つをひと括りとしたバンクを32個まで保存可能。バンクの切り替え方法は、MIDIプログラムチェンジモードと共通です。

 Settingでは、ほかにも筺体の細かな機能を設定できます。

スタイルに応じて、ちょっとした機能の切り替えが可能

 ALLOW BANK CHANGEは、ペダルスイッチ長押しによるバンク切り替え機能のオン/オフ。スイッチを長く踏み込むクセがある人は、外しておいた方がいい場合もありそうですから、この機能は気が利いていると思います。

 SEND PC IN CTRL CHANGE MODEは、MIDIコントロールチェンジモードでバンクを切り替えたとき、同時にプログラムチェンジの信号を送るか送らないかを選択します。これがオンになっていると、iRig BlueBoardアプリ上のバンク1番が、連携するアプリ側のプリセット1番、というような形でバンクナンバーがMIDIプログラムナンバーと同じように扱われることになります。こちらもプログラムを切り替えずに複数のコントロールを、別バンクのスイッチに設定して使いたい場面などでは便利でしょう。

 FOOTSWITCHES BACKLIGHTでは、筺体のA~Dのスイッチのバックライトの明るさを設定。バッテリーの消費を抑えるために明るさを弱く、あるいは強い照明の下で視認性を上げたいときに明るさを強くなど、15段階で調整できます。

ペダルのバックライトの明るさやキャリブレーションも、任意にカスタマイズできます

 EXT PEDAL 1/2 CALIBRATIONは、EXT 1/2で使用するペダルの下限および上限を設定します。これはペダルのモデルによって踏み込みの深さが違ったりすることが往々にしてあるので、その個体差を信号を受信するアプリ側で補正する機能です。

 AmpliTubeとの組み合わせでは、まるで一般的なギター用マルチエフェクターのような感覚で使うことができました。床置きのマルチエフェクターよりも小型軽量なので取り回しがよく、電池駆動とBluetoothの使用により足元はよりすっきりとした状態。パッチを切り替えたときのディレイもほとんどありません。切り替え時に起こる音切れに関しても、連携するアプリ側のセッティングを詰めることでいくらか改善は可能なので、さほど問題にはならないでしょう。

 ペダルの踏み心地については、主にコンパクトエフェクターで使われている機械式スイッチのようなクリック感はありません。ですが、電子式スイッチを利用した一般的なMIDIペダルと変わらない適度なバネ感があり、違和感を感じることもありませんでした。

 iPadアプリをより実戦レベルで使いやすくしてくれる、優れたペダルだと思います。実売1万2480円ほどでこれほど実用的、かつ先進的なMIDIコントローラが手に入るというのは、魅力的だと思います。


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藤村 亮(ふじむら りょう)

photo by Shin Kobayashi

 1981年生まれ、Ibanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックミュージシャン。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年よりベルギーのインディーズレーベルと契約し、"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国のJ-Musicイベントにゲスト参加した。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度のライブツアーを敢行。さらに、2013年11月にはヨーロッパツアーを終え、2014年1月1日から一日一曲アップロード企画「Daily Sound Scape」をSoundcloud上で開始。

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