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「分析ライフサイクル」の各ステップに対応した新製品群を投入予定

SAS、ビッグデータ分析やDWH近代化に向けた2014年事業戦略

2014年03月06日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 SAS Institute Japanは3月5日、2014年度の事業戦略発表会を開催した。同社代表取締役社長の吉田仁志氏が出席し、「アナリティクス」をめぐる国内企業の動向や、国内市場における今年の注力領域について語った。

SAS Institute Japan代表取締役社長 兼 SAS Institute北アジア地域副社長の吉田仁志氏

アナリティクスという“付加価値”へのニーズが強まる

 まず2013年度(2013年1~12月期)の業績は、グローバルのSASで過去最高の売上高となる30.2億ドル(前年比5.2%増)を記録、これで38年連続の増収増益となった。特に北アジア地域(日本、中国、韓国、台湾、香港)が最も高い成長率を示し、日本単独でも「売上が記録を更新した」(吉田氏)。

 日本市場における堅調なビジネス成長の背景として、吉田氏は「ビッグデータアナリティクスの導入促進」「顧客分析/マーケティング統合管理の好調」「金融機関におけるビジネスの伸び」といった動きを挙げた。たとえば金融ビジネスの領域ではリスク分析、顧客分析などの採用が増え、「全体で2倍くらい(の売上)を記録した」という。

SASの提供する3つのコアソリューション。大まかな売上比率は分析プラットフォームが6割、顧客分析とリスク分析がそれぞれ2割ずつで、いずれも堅調な成長を見せているという

 「単なるBIツールではなく、“アナリティクス”という(予測型モデルの)付加価値のあるツールが求められてきたのではないか。『SAS Visual Analytics』という戦略製品の発売もあり、北アジア地域では新規の顧客、新規の分野で採用していただいたケースが顕著に見られた」(吉田氏)

 吉田氏はまた、“予測”要素を含むアナリティクスを企業がビジネスの武器として生かすためには、テクノロジー/製品の導入だけでなく、データを重視するビジネスプロセス、データサイエンティストの育成にとどまらない組織内の役割分担やコラボレーション、企業文化の改革も重要であることをあらためて強調した。

 「アジア地域でも特に日本の企業では、ビジネス上の判断基準としてアナリティクスを受け入れる意識、土壌が弱い。SASとしては、具体的にビジネスに役立つアナリティクスを広めていく必要がある」(吉田氏)

「分析ライフサイクル」の各ステップで新製品を提供

 同社マーケティング&ビジネス推進本部 本部長の北川裕康氏は、2014年度のSASのビジネスを推進する“4つの柱”を紹介した。

SAS Institute Japanマーケティング本部長の北川裕康氏

 「基本的なテーマはビッグデータ(アナリティクス)をさらに推進すること。また、分析ライフサイクルをいかに高速に回してスループットを上げていくか。DWH(データウェアハウス)の近代化、(RDBベースではない)新しいDWHの提案をしていきたいと考えている。そのために“4つの柱”を設けている」(北川氏)

2014年度のSASが掲げる“4つの柱”「Customer Intelligence」「Visualisation」「Hadoop」「Data Management」

 第1の柱であるマーケティングソリューションの「Customer Intelligence」では、さらに強力な顧客分析を実現する「オムニチャネルマーケティング」への進化を促す。リアル店舗からオンラインショップまであらゆるチャネル(顧客とのタッチポイント)で収集した顧客行動や購買のデータを統合、分析して、顧客体験のパーソナライゼーションを提案していく。

 第2の柱「Visualisation」では、ビジュアルアナリティクスの製品ラインを拡大していく。「『分析ライフサイクル』の各ステップに対して最適な製品を提供するという考えに基づき、製品ラインを拡大していく」(北川氏)。たとえば2012年から提供しているVisual Analyticsは「データ準備」「データ探索」ステップの製品で、ターゲットユーザーはビジネスアナリストである。

北川氏は、分析ライフサイクルの各ステップに対応するかたちで、ビジュアルアナリティクス製品を拡大していくと説明した

 「日本では3~4月に発売する『In-Memory Statistics for Hadoop』はすべての分析ライフサイクルをカバーする。また夏頃発売予定の『Visual Stastics』は主に統計担当者が使う製品だが、モデル開発までカバーする。これらの製品は、インメモリでHadoop分散ファイルシステムをサポートする『LASR Analytic Server』ミドルウェアを使う」(北川氏)

ミドルウェア「SAP LASR Analytic Server」

 上述の発言にもあるとおり、第3の柱「Hadoop」をさまざまな製品へ統合していくと北川氏は説明する。「Hadoop上で分析ライフサイクルの高速化を行うということを積極的に提案していく。データマネジメント機能などを直接動かすような製品も提供」(北川氏)。

分析ライフサイクルのすべてにHadoopを適用していく

 第4の柱「Data Management」について、北川氏はユーザー企業に対する調査資料を引用し、ビッグデータ推進の阻害要因として、人的要因の次にデータの管理や品質が大きな課題になっていることを指摘した。この分野についても、新製品を積極的に提案していく。

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