パナソニックが1年半前に発売したデジカメにソックリ!?
さて、デジカメ通ならすでに気づいたかもしれないが、CK20はパナソニックの「LUMIX FZ200」(関連記事、日本では2012年8月に発売)、海鴎のCF100はパナソニックの「LUMIX LX7」(関連記事、同じく2012年8月に発売)に、外観からコネクター類、ボタン類の配置、バッテリーといった基本スペックまで酷似している。
そうすると、本体やレンズに海鴎のロゴを付けただけの製品ではないか、という疑いがかかる。いや、すでに多くの中国メディアが疑っている。
同じ製品ではないかと疑われているが、異なる点も確認している。パッケージはもちろん異なるし、起動画面も海鴎のロゴが出る。外観もよく見ると微妙に異なる部分がある。何より、動画撮影は同じように1080pでの撮影ができるが、パナソニックとソニーが策定したAVCHDが使えず、MP4での撮影となる。
問題は、パナソニックの製品よりも録画したファイルサイズが大きくなる点だ。さらに、海鴎のCF100はパナソニックのLUMIX LX7の後出しで出てきたのに、CF100の価格はLUMIX LX7の販売価格である2099元(約3万5000円)の1.5倍であり、CK20もまた3750元(約6万2500円)のFZ200よりやや高い。
となれば、「ここまで似ていながら、日本の規格(AVCHDなど)を採用せず、オリジナルより劣化している上に値段が高いとはどういうことだ」というツッコミは当然ある。しかし一方で「海鴎、中国の夢を乗せて加油(がんばれ)」なんて声も少なくない。
“そっくり製品”でもさらなる進化を望む中国ユーザー
中国のそっくり製品というと、ファミコン互換機以降のデジタル時代の製品を想像する人が多いと思う(筆者自身も思っていた)。
しかし調べてみると、海鴎をはじめとして、中国のクラシックカメラは、ドイツや日本のカメラをそのまま摸したものが多く、現在と同様に中国で製造し、中国国内で販売し、時に輸出していた。
だから今回の製品にしても、たとえパナソニックの製品といかなる関係があろうとも、「わかりきっていた上で、それでも加油」という暖かな声が上がった。
ブーイングを送る中国人がいる一方で、同社発のデジタル一眼レフカメラに期待する声もある。同社は過去に一眼レフカメラをリリースしているため、レンズ資産がある。
クラシックな中国味の写真が撮れるならそれもまた魅力的だ。筆者個人としては、中国メーカーには引き続き頑張って、少しでも独自色を出したデジカメをリリースしてほしいと思っている。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)。
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