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運用まで考えればVPNはNTT西日本 第3回

中小企業に必要なネットワークは「安い」だけではなかった

ITアナリストが指摘するワンストップ対応VPNの価値とは?

2014年03月24日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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アベノミクスや消費税の増税など、日本の経済もダイナミックに動いている。こうした中、企業の成長はICTの活用による生産性の向上にかかっているといっても過言ではないだろう。日本経済の原動力とも言える中堅・中小企業のIT動向について、ノークリサーチのシニアアナリストである伊嶋謙二氏に聞いた。(インタビュアー TECH.ASCII.jp 大谷イビサ)

中小企業のIT活用は本当に進んでいるのか?

TECH.ASCII.jp 大谷(以下、大谷):設立以来、一貫して中堅・中小企業のIT動向を見ているノークリサーチですが、まずは昨今の動向を教えてください。中小企業のIT活用は、以前より進んでいるのでしょうか?

ノークリサーチ シニアアナリスト 伊嶋謙二氏

ノークリサーチ 伊嶋(以下、伊嶋):中堅・中小企業のIT導入に関する調査は毎年やっていますが、まず前提としてパソコン、サーバー、ネットワークなどITのインフラ導入率はすでに高いことが挙げられます。中小企業だからといって、もはや紙と印鑑だけで仕事できるわけないですからね。(グラフ1)を見てもらえばわかるとおり、導入したITの満足度も「非常に効果があった」との回答がおおむね6割以上と高いのが特徴です。特に「親会社や関連会社のセキュリティ要求に応える」(90.5%)、「業務情報を電子化して効率化したい」(85.6%)、「親会社・関連会社を電子化して連携を図る」(82.5%)などが高いですね。

グラフ1 これまでのIT化の満足度・効果(一部抜粋) 出典:2012年中小企業等のIT活用に関する実態調査(独立行政法人情報処理推進機構、ノークリサーチ委託)

将来的にも、すでに導入されているITインフラを中心に高い投資意向を示しています。(グラフ2)。社内LANは79.8%、インターネット環境は89.5%など。現状では低めの「自社の本支店間の連携システム」への投資計画も50%を超えています。ネットワーク環境に対するIT投資は引き続き高いですね。

グラフ2 導入計画(一部抜粋) 出典:2012年中小企業等のIT活用に関する実態調査(独立行政法人情報処理推進機構、ノークリサーチ委託)

大谷:私も中小企業はけっこう取材しているのですが、特に製造業のグローバル化は急速に進んでいる印象です。

伊嶋:でも、大谷さんが取材しているのは、たぶんITを積極的に活用している企業やグローバル化が進んでいる企業なのだと思います。一見普及が進んでいるIT導入率の数字とは裏腹に、実態はそうでもありません。ベンダーがきちんと提案し切れていなかったり、ユーザー企業自身が踏み込んだシステム導入を決断しきれない会社がきわめて多い。ネットワークは引けているのだけど、本社・支社間で商取引データを流すとか、セキュアな情報をやりとりしている例はまだ一部です。遅れているとも言えるし、投資の余地があるとも言えます。

大谷:なるほど。個人的には、やはりクラウドを利用するのに安定したネットワークが必須になったこと、東日本大震災以降、災害対策やBCP(Business Continuity Plan)の観点でシステムの分散が重要視されるようになったことなど、今後ネットワークに投資する背景はいくつかあると思っています。

伊嶋:ネットワークに関しては、ブロードバンドの勃興から一回りし、光ファイバーに刷新した方がいいという機運はありますね。一方、セキュリティに関しては、お金をかけても守らなければという意識がまだまだ低い。3年前くらいに調査したけど、「うちでは事件起こっていないので、大丈夫」という企業がほとんどです。

「セキュリティに関しては「うちでは事件起こっていないので、大丈夫」という企業がほとんどです」

大谷:昨今は標的型攻撃も巧妙化していますし、パスワード漏えいを狙ったり、なかなかユーザーの手に負えません。正直、大企業がコストをかけても、対策が難しいレベルです。

伊嶋:その通り。ですから、ネットワークといっしょにセキュリティも面倒見てもらえると中小企業はうれしいはずです。その点、通信サービス自体でセキュリティが確保されているVPNは中小企業・大企業問わず、よい提案だと思います。

中小企業の6割は情報システム部が存在しない

大谷:伊嶋さんはITの商流についてもお詳しいですが、中小企業のIT活用が進まない理由は売る側にもあるんでしょうか?

伊嶋:もともとITとネットワークは販売している会社が違います。SIerは業務システム構築やソフトウェア開発がメインなので、ネットワークはやっぱり通信事業者に任せているところが多い。一方で、通信事業者はやはりネットワークが主力サービスなので、基幹システムの構築まではなかなか難しい。こうなると、ユーザーは複数の業者にお願いせざるを得ません。

大谷:ユーザー側の課題は、やはり情報システム部の人手不足でしょうか?

伊嶋:そうですね。われわれの調査だと、年商5~50億円の中小企業の6割以上は情シスがありません(グラフ3)。50億円の規模だと、おそらく300名くらいの会社になると思いますが、ここでも専任の情シス担当がいない企業が過半数を占めるのが現実です。年商50~500億円のいわゆる中堅企業でも、専任担当者がいるのは6割強。ほとんどは1人の兼任担当者が各地を回って、ソフトのインストールやネットワーク機器の障害対応、システムの監視までやっています。

グラフ3 中堅・中小企業のIT担当人数(専任) 出典:2011年中堅・中小企業のIT部門の実態調査(ノークリサーチ)

大谷:とはいえ、兼任ですし、サーバーやネットワークの保守・運用管理までは手が回らないですよね。やはりアウトソーシングする形になるのでしょうか?

伊嶋:そうですね。グラフ4を見てもらえば分かるのですが、中小企業が外部に期待している機能は実にさまざまです。経営課題はもちろんですが、セキュリティやコスト、保守・運用など幅広いサポート機能が求められています。

グラフ4 外部に期待している機能 出典:2012年中小企業等のIT活用に関する実態調査(独立行政法人情報処理推進機構、ノークリサーチ委託)

 とはいえ、アウトソーシングしたとしても、前述のように複数の業者に発注する場合は、それぞれに対して、適切な指示を出さなければなりません。ただですら兼業なのに、こうしたプロジェクトマネージャー役までやるのは難しいです。こうした現状を考えると、安心できる特定の業者にワンストップで対応してもらうことがきわめて有効です。ベンダー側はワンストップ化したサービスを提供し、情報システム部の負担を減らすべきです。

運用負荷の軽減やセキュリティなど
ニーズに応えるオールインワンネットワーク

 ここまでの伊嶋氏との対談を踏まえ、ネットワークの刷新を考える多くの企業にお勧めしたいのが、NTT西日本の「Bizひかりクラウド オールインワンネットワーク フレッツ・VPN ワイド版」(以下、オールインワンネットワーク)である。

 オールインワンネットワークは、高い実績を誇るVPNサービスのフレッツ・VPN ワイドのほか、アクセス回線、レンタルルーター、遠隔監視、運用報告をセットにしたパッケージ型のネットワークサービス。拠点間通信に必要なものをすべて包含しているので、通信機器の専門知識がなくても導入できる。また、コスト面でもオールインワンネットワークではルーターの初期導入コストが無料となっており、導入の敷居も低い。

 では、なぜオールインワンネットワークか? 伊嶋氏が指摘したとおり、中小企業では情報システム部が存在せず、システム管理に大きな負担がかかっている。これに対して、オールインワンネットワークでは、万が一の障害においても、ワンストップ保守窓口へ電話すればよいので、ユーザー自身で煩雑な切り分けをする必要はない。また、24時間365日遠隔監視を行なっているため、異常を検知した場合はリアルタイムでユーザーに通知する。このワンストップという価値がユーザー企業には大きく訴求する。

 オンサイト保守の場合、西日本全域の多数の保守拠点からの駆けつけと予備機との交換を行なう。さらに、毎月全拠点の運用状況をまとめたレポートを送付してくれる。運用を任せつつ、ユーザー企業も実態をきちんと把握できるわけだ。SIerや保守業者、ISPなど複数の業者と契約する必要もなく、障害時にスピーディな復旧が可能なのは大きなメリットだ。

 もう1つの大きな課題であるセキュリティも万全だ。伊嶋氏の指摘するとおり、多くの中小企業は、セキュリティの意識がまだまだ低い。そのため、今後のシステム提案では、きちんとセキュリティを埋め込んだネットワークが求められるという指摘もあった。その点、オールインワンネットワークのベースであるフレッツ・VPN ワイドはインターネットを介さない閉域のIPネットワーク上で利用者同士がやりとりできるので、きわめて安心だ。また、フレッツ・VPN ワイドへの接続の際に、「フレッツ 光ネクスト」を利用すれば、ユーザーID、パスワードによる認証に加え、フレッツナンバーを用いた回線認証によりさらに強固なセキュリティを保つことができる。

「中小企業=コスト重視」は本当か?

 インタビューの最後、伊嶋氏には、中小企業が真に頼れるパートナーの条件について、聞いてみた。中小企業と言えば、コスト重視というイメージが強いが、伊嶋氏は必ずしもそうでないと指摘する。

伊嶋:中小企業が導入を検討しているIT製品やサービスは、高いか安いかだけの判断基準ではありません。多くのベンダーは中小企業に対しては、「安ければいいんだ」みたいな戦略をとりますが、これは間違っています。むしろコストにシビアなのは、予算規模が大きく、複数のベンダーから提案を得られる大企業の方でしょう。中小企業が製品・サービスを選ぶにあたって、もっとも重要な要件は「安心感」。特に経営者は、“逃げない”という安心感があれば、コストに依存しない導入の意義を見出すと思います。こういう時代なので、国内の通信事業者に対する信頼感や安心感はきわめて大きいと思います。

中小企業が製品・サービスを選ぶにあたって、もっとも重要な要件は「安心感」です

 中小企業にとって「コストより重要」と伊嶋氏が断言する「安心感」に関して、NTT西日本はどうか? もはや言うまでもないが、長らく企業を支え続けてきた通信のプロであるNTT西日本だけに、絶対的な安心感がある。ネットワークに限らず、IT全般や経営課題についてもトータルにサポートしており、ノークリサーチが提示する「安心できる特定の業者にワンストップで対応してもらうことがきわめて有効」という要件をきちんと満たす。今後の運用管理の負荷を下げたい中小企業、コスト重視の大企業も含め、オールインワンネットワークの導入はぜひ検討したいところだ。

(提供:NTT西日本)

[審査13-3473-1]

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