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JALのジェットエンジン整備はミリ単位の繊細な作業だった!

2014年03月09日 01時00分更新

文● 藤山 哲人

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巨大で強力なエンジンでも
繊細でていねいな整備が必要

 エンジンのオーバーホールは、次のような工程になっている。

1)分解前検査
 以前お伝えしたような内視鏡のようなものを使って、あらかじめエンジン内部の検査などを行なう。

2)モジュールへの分解
 エンジン全体を大まかなモジュールごとに分解する。

天井にはいたるところにクレーンがあり重量物を持ち上げたり運んだりできる

電気系統や油圧系をはじめとした配管などに分解する。写真は電気系のユニット

吸気口の前部モジュール。すでにファンブレードは取り外されている

3)モジュールの分解
 分解したモジュールを部品単位に分解する。

モジュールはさらにバラバラの部品単位に分解

似たような部品も多数あるので、1つ1つていねいに取り外し、時には番号を振っていく

分解されたファンブレード。ブレードは中空で、軽く頑強なチタンでできているため、たった12kgしかない

エンジン内部のディスク。空気を整流するための羽が見える

ファンブレードを取り付けるディスク。小さいので燃焼室に近い部分のファン用

部品の単位はすべてインチとポンド。ボルトを締めるラチェット、長さを測るノギスもインチ工具だ。ボルトを締める強さを測れるトルクスレンチはポンド単位

4)洗浄
 油や薬剤などを使って部品をていねいに洗う。汚れていると傷を見つけづらいので、検査前には必ずきれいに洗浄する。変わりどころではショットブラストを使うものもあるという。

 ショットブラストとは、おもに金属などを研磨する場合に使うもので、米粒ほどの金属粒を研磨する対象に高速で打ち付ける方法。小さな町工場だと塗装を剥がしたり、ガラスに模様を描いたりする、砂を使ったサンドブラストが有名だ。エンジンの洗浄の場合は、そのどちらでもなくプラスチック樹脂粒を使ったショットブラストをかけるそうだ。

5)検査
 検査と修理は表裏一体で、まずさまざまな手法で検査が行なわれる。最も基本となるのは、目視。目で見て傷やクラック、ゆがみなどの問題点を見つけるのだ。

 蛍光浸透探傷は少し高度で、検査する部品を薬剤のプールに浸し、それを銀塩写真のように現像してブラックライトを当てる。こうすると薬剤が傷に浸透して、光って見えるというわけだ。

部品を薬剤のプールに沈めたあと、専用の機械にかけ現像する

現像した部品を暗室に持ち込み、ブラックライトを当てると傷の部分が緑に光る。リング状の内側にはねじ山の傷、外側にも粒状の傷がいくつか見える

蛍光灯の下で目視で見えない傷でも、蛍光浸透探傷を使うとわずかな傷が見える。写真は10cm程度のブレード

 似たような磁気探傷検査(別名マグナフラックス)というものもある。これは部品を磁化して特殊な磁粉をかけることで、傷などが浮かび上がるという方法だ。強力な磁力を使うため、ペースメーカーを入れている人などは近づけない。

 他にもIH炊飯器の原理を応用した渦電流探傷(IHの原理で部品内に渦電流を発生させ、その抵抗の変化で傷を発見する)なども使っているという。さらに部品内部には、超音波探傷(部品に超音波を当て、帰ってくる反射波で傷を見つける潜水艦のソナーみたいなもの)なども使っているということだ。

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