このページの本文へ

ビッグデータで最先端を行く日本の法制度

2014年02月25日 16時00分更新

文● 伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 政府は成長分野の一つとしてビッグデータに期待しており、現在、法整備が進められている。2015年の通常国会で個人情報保護法が改正されれば、匿名化されたビッグデータは本人の同意がなくても第三者に提供できるようになる。政府はビッグデータが日本のビジネスの起爆剤になることを期待しているのだ。

 しかし、ビッグデータはどんなに匿名化したところで、異なるデータの突き合わせによって個人を100%特定できる。そのデータ量が多ければ多いほど、関連性が高ければ高いほど、特定の危険が高まる。実際、個人情報保護法改正のための技術検討ワーキンググループの報告書にも「汎用的な匿名化方法はない」と記されている。匿名化しても個人が特定できる中で、ビッグデータの売買を合法化する動きに反対する識者もいる。しかし、匿名化できないからビッグデータを一切使わないとなると、当然ビジネスの起爆剤にはなり得ない。

1997年、米国マサチューセッツ州が氏名を削除して匿名化した医療データを公開したところ、別の投票者名簿と照らし合わせて州知事の情報が特定されてしまった。

 ワーキンググループの座長を務める国立情報学研究所の佐藤一郎教授は「(来年予定されている)法改正によって、日本が進んでいるところも出てくる」と語る。ひかり総合法律事務所の板倉陽一郎弁護士は、技術検討ワーキンググループの議論を「世界最先端」と評価する。詳細は「アスキークラウド2014年4月号」で紹介している、欧米に対するよい先例となり、ビッグデータの利活用に弾みがつくかもしれない。

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中