政府は成長分野の一つとしてビッグデータに期待しており、現在、法整備が進められている。2015年の通常国会で個人情報保護法が改正されれば、匿名化されたビッグデータは本人の同意がなくても第三者に提供できるようになる。政府はビッグデータが日本のビジネスの起爆剤になることを期待しているのだ。
しかし、ビッグデータはどんなに匿名化したところで、異なるデータの突き合わせによって個人を100%特定できる。そのデータ量が多ければ多いほど、関連性が高ければ高いほど、特定の危険が高まる。実際、個人情報保護法改正のための技術検討ワーキンググループの報告書にも「汎用的な匿名化方法はない」と記されている。匿名化しても個人が特定できる中で、ビッグデータの売買を合法化する動きに反対する識者もいる。しかし、匿名化できないからビッグデータを一切使わないとなると、当然ビジネスの起爆剤にはなり得ない。
ワーキンググループの座長を務める国立情報学研究所の佐藤一郎教授は「(来年予定されている)法改正によって、日本が進んでいるところも出てくる」と語る。ひかり総合法律事務所の板倉陽一郎弁護士は、技術検討ワーキンググループの議論を「世界最先端」と評価する。詳細は「アスキークラウド2014年4月号」で紹介している、欧米に対するよい先例となり、ビッグデータの利活用に弾みがつくかもしれない。