Androidの独占状態に歯止めがかからない。2013年通年でのAndroidのシェアは78.4%。2012年の66.4%からさらに比率を上げたとされている。そのAndroidの魅力の1つが「無料」「オープン」である。だが、GoogleがSamsung/HTCと交わしていた機密扱いの契約が公開され、現実にはかなりの条件がついて回ることが明らかになった。欧州で進行中のAndroidへの独占禁止法調査にも影響を与えるかもしれない。
機密扱いだったグーグルと端末メーカーとの合意書
その内容は?
AndroidとiOSの2強時代とはいうものの、実際のところ2013年はAndroidの年と言える。Gartner調べによる2013年のシェアは、Androidは12ポイントも伸ばして78.4%に、一方のiOSは19.1%から15.6%に減らした。Windows Phoneは前年の2.5%から増えてはいるが、わずか1.7ポイント増の3.2%という結果だ。
Androidは実にスマートフォン5台中の4台で利用されており、実質一人勝ちといってもよいだろう。iPadが主流だったタブレットでも同じようなパターン(iOS/Appleが市場を作ってリード、その後Androidがシェアをとる)が生じつつある。
Androidを採用する理由の1つが「無料」であり「オープン」な点だろう。このことがアプリが多数開発されるエコシステムを生み、結果として、そのことがプラットフォームの魅力を増していると言える。
もっともAndroidは確かに無料なのだが、Googleが端末メーカーと交わしているMADA(Mobile Application Distribution Agreement)という合意書からは、Googleが自社モバイルアプリケーションのライセンスにあたって、いくつかの条件を課していることがわかった。この書類は本来機密扱いだったのだが、OracleがAndroidはJavaの知的所有権を侵害していると主張するGoogleとの訴訟で明らかになったのだ。
公開したのはハーバードビジネススクールのBenjamin Edelman氏(ここ、ここ、ここ)。このMADAという契約は、GoogleがHTCと2010年に、Samsungと2011年に交わしたもので、Google側はAndy Rubin氏が署名している。
この中でGoogleは、「すべてのGoogle Applicaionsが事前にデバイスにインストールされた場合のみAndroidデバイスを流通できる」「Googleの検索とAndroid Market Clientアイコン(現在のGoogle Play)はデフォルトのホーム画面のすぐ次に表示されるパネルに設置しなければならない」「Google検索はWeb検索につながるあらゆるアクセスポイントのデフォルト検索プロバイダーに設定する」「Google Applicationsはトップの1つ下までに表示しなければならない」といった言葉が並ぶ。Google ApplicationsとはGoogle検索、Gmail、Google Calendar、Google Talk、YouTube、Google Maps for Mobile、Google Street View、Contact Syncなどを指している。
OSをライセンスする際の一種の契約書としてみれば問題ないように見えるし、多くのAndroid端末がGoogle Playにはじまり、Google製アプリをプレインストールしていることから、ルールがあることはこれまでも想像できた。
Androidを無料で公開するGoogleのビジネスモデル(Googleのサービスをモバイルでも利用してもらうことで広告収益が得られる)は秘密でもなんでもない。もちろん契約は3〜4年前のもので、内容は変更されている可能性もある(MADAにはGoogleが一方的に変更することができるとも明記されているとか)。
だが、Googleが表向きではAndroidを“オープン”と位置づけているのと矛盾する点で問題だというのがEdelman氏の主張だ。その点からみると、Googleのスローガンであるところの「Don't be evil(邪悪になるな)」に反すると突っ込まれても仕方がないのかもしれない。
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