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日本人のためのMOOC登場でニッチコンテンツにも光

2014年02月19日 16時00分更新

文● 石山 俊浩(ISHIYAMA Toshihiro)/アスキークラウド編集部

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 NTTドコモとNTTナレッジ・スクウェアは、JMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)公認のMOOC(大規模公開オンライン講座)サイト「gacco」(ガッコ)を開設した。パソコンやスマートフォン、タブレットがあれば受講でき、受講料は無料。講座は今年4月からの順次開講予定で、現在は受講生を募集している。
 ガッコの特徴は、講義が日本語で提供されること。MOOCサイトではコーセラ(Coursera)エデックス(edX)が有名だが、日本人による日本人向けの講義でも英語化が必須。その点ガッコは日本語のまま配信できる。多少ニッチでも、オリジナルの教育コンテンツを持っている企業や個人にとって、翻訳の手間がなく、幅広い層の受講者を集められるMOOCは魅力的だ。昨年「今でしょ!」で話題となった予備校の人気講師に続く人材が発掘される可能性すらある。
 では、これまで有料で授業をネット配信してきた予備校などは、ガッコの動きをどう見ているのだろうか。高校生の大学受験向けサービスを提供するリクルートマーケティングパートナーズの「受験サプリ」松尾慎治編集長は、「オンライン学習の門戸が拡大するのは歓迎」という。MOOCは主に高等教育(大学の教育)を一般開放するためのもので、(受験サプリとは)ターゲットが異なるものの「誰もが平等に、思う存分、学べる機会提供を目指している点では同様。この理念を具現化させる、オンラインで学ぶという新しい学習スタイルを、ともに普及させていきたい」と話した。また、インターネット予備校スタネットを運営しているスタンダード家庭教師サービス代表取締役の吉田知明氏は「生徒である顧客にとってガッコ(JMOOC)のような存在は、より安く、より良い教育サービスを受ける機会となり喜ばれるだろう」としながらも、「サービスを提供する企業にとって、生徒や保護者と真摯に向き合い、期待を超える付加価値を提供できるかどうかが重要」と分析。ガッコもプラットホームを提供するだけでなく、「その先」を見据えないと、単なる動画配信サイトで終わる可能性もある。「少子化だからこそ、皆で知恵を出して魅力的な市場にしていきたい」(吉田氏)。
 矢野経済研究所の調べによると、国内のeラーニング市場は約700億円の規模で、企業向けはほぼ横ばいだが、消費者向けは年々伸びている。ガッコのようなプラットホームが整備されたことで、より活性化する可能性がある。現に、無料オンライン予備校の「エブリデイゼミナール」を運営するエスコーポレーションのように、コーセラの日本語オフィシャル翻訳パートナーになる例もある。ビジネスチャンスはどこにでもあるのだ。

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